常連客に頼ると危険。飲食店が生き残るために必要な対策とは

飲食店経営において「常連客」は安定の象徴のように捉えられがちですが、常連客は顧客のライフステージの変化(年代が変わる、住む場所が変わるなど)に伴い、いつか必ず来なくなります。したがって、常連客に依存する経営は持続的ではありません。
重要なのは、常連客がいなくなることを前提とし、常に新規顧客を取り込み、それを常連へと育成し続ける「新規と常連の健全な循環」を構築することです。本記事では、常連客の理想的な比率と、持続的な売上を確保するための新規集客戦略、そして業態に合わせたリピート施策の重要性を解説します。
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安定を意味しない「常連客が多い店」の落とし穴

多くの経営者が常連客の多さを経営的な安定と捉えがちですが、常連客の比率が高すぎる状態は、実は将来的な売上の伸び悩みを意味します。
常連客が多いことの隠れたリスク
素人的に見ると、常連客が多い店は定期的に通ってくれるため、経営的にも安定していると思われがちです。確かに常連客は大事ですが、その比率が高すぎると、以下のような問題が生じます。
- 新規顧客の獲得不足: 例えば、新規が1割で常連が9割という状態は、当たり前ですが新規顧客がほとんどいないということです。常連客は新規顧客から次に来店した際に生まれるわけですから、新規が少ないということは、将来的に常連になる可能性を秘めた顧客も少ないということになります。
- 売上の停滞: 新規が取れていないお店は、売上の上がり方が非常に少なく、下手すれば横ばいか、常連客の離脱によって売上が減少していくパターンがあります。常連を生み出しにくいお店になっているため、持続的な成長が難しくなります。
新規と常連の理想的な比率
常連客がいなくなることは避けられないため、常に新規顧客を取り込む努力が必要です。その上で、常連客の比率は、2割、多くても3割いれば十分だと考えられます。
ただし、この比率は新規が取れているという前提で成り立ちます。新規集客に力を入れている店舗では、新規客が一定数来るため、常連客が行きたいのに満席で入れないという状態が生まれることもあります。そうなると、常連になりたいわけではないが、新規の人が並んでしまっているために常連客が入りづらくなり、結果的に常連数が減るというパターンが発生します。常に新規でお客さんが来て並んでいるお店であれば、必然的に新規の比率が高くなるのです。
結論として、常連客が多いお店は実はあまり良くないのです。一定数新規が取れていないお店は、常連を生み出しにくい構造になっており、経営を続けていくのが難しくなります。
新規顧客獲得のための広告戦略と費用対効果

常連客の比率を健全に保ち、持続的な売上を確保するためには、新規集客のための広告が非常に重要になります。
データを取ることから始める広告戦略
新規集客のために「これをやっておけばいい」という唯一の正解は正直ありません。基本的には、やれることは全部やるという姿勢が重要です。
- 初期段階の目的: 広告戦略の初期段階では、どの施策が効果的かを判断するためのデータを取ることが最も大事になってきます。
- 効果的な施策への集中: 全ての施策を試した上で、費用対効果が高いものにお金を使っていくのが基本的な戦略となります。
その上で、現時点ではSNSが一番費用対効果が良いため、SNSは積極的に活用すべきです。ただし、SNSだけやれば良いわけでもありませんし、SNSをやらなかったら全く売れないわけでもないので、あくまで「やっておいた方がいい」という位置づけです。広告をちゃんとかけ、一定数の新規顧客がいた上で、常連が2~3割キープできる状態が、お店として非常に良い流れを作れます。
継続的な集客のための施策
常連客がいなくなることを前提とすれば、新規から常連を生み出す行為が常に必要になります。
新規で来店した方にリピートしてもらうためには、複数回来店するとメリットがあるような施策が重要です。例えば、大盛りが無料になったり、来店回数に応じて特典がアップしていく段階的な無料サービスなどが考えられます。
常連客を作るために最も大事なのは、お客様に喜んでもらって、また来たいと思っていただくことです。そのためには、良いサービス、クオリティの高い料理、店内が綺麗な状態であるQSC(クオリティ、サービス、クレンリネス)がちゃんとできていることが大前提となります。ただし、QSCの基準を満たせばイコール常連が作れるわけではありません。それは最低条件だと捉え、プラスでお客様が喜ぶために何をするかという工夫が非常に大事になります。
業態別のリピート戦略:接触回数のコントロール

お客様に喜んでもらい、リピートしてもらうための具体的な施策は、その店舗が提供する業態によって大きく異なります。特に「お客様との接触回数」は、戦略を分ける重要なポイントです。
接触回数が少ない業態(ラーメン屋など)の戦略
ラーメン屋のように、お客様と接する機会が、入店挨拶、提供時、退店時の挨拶ぐらいしかない、接触回数が少ない業態の場合、接客を頑張っても効果が薄いことが多いです。
- コスパ重視の喜び: こうした業態では、コスパが良いお店作りや、付加価値の提供がお客様の喜びに繋がりやすいです。例えば、生卵を食べ放題にする、海苔が取り放題といったサービスです。店員さんが多少話しかけてくれるよりも、こうしたサービスの方がお客様の嬉しさは増すと考えられます。
- 属性による効果の違い: ラーメン屋に来るお客様は、イヤホンをして動画を見ているなど、あんまり店内を見ていない方もいます。そうなると、接客を頑張っても効果が薄いため、環境やお店のスペックの状態で、コスパが良い状態を作れている方がお客様に届きやすいと言えます。
接触回数が多い業態(レストランなど)の戦略
レストランのように、デート、接待、合コンといった雰囲気を重視するパターンが多い業態では、お客様との接触回数を増やすことが重要になります。
接触回数を増やすことで、お客様の満足度を高めることができます。例えば、「2杯目だったらこういうドリンクがおすすめですよ」と提案したり、「このドリンクにはこういう料理がおすすめですよ」とペアリングを楽しんでいただく提案をしたりすることが有効です。
最近の店舗ではモバイルオーダーを導入するケースが増えていますが、モバイルオーダーは人件費を圧縮するために使うことが多いため、逆に接客の時間を増やせると捉えるべきです。注文の作業をモバイルオーダーで代替し、その分生まれた時間を、お客様との接触回数を増やすために使う、というイメージで戦略を立てることが、リピートに繋がります。
まとめ:新規が常連を生む「健全な循環」の確立
「常連客はいつか来なくなる」という現実を踏まえ、飲食店経営において最も重要なのは、新規顧客の獲得を継続し常に常連を生み出し続ける「健全な循環」を構築することです。
- 常連客の理想的な比率: 常連客の比率は2~3割が健全です。新規顧客が少ない状態での高い常連客比率は、将来的な売上の伸び悩みを意味します。
- 集客とリピート施策: 広告(特に費用対効果の高いSNS)で新規顧客を絶やさず獲得します。その上で、QSCを最低条件とし、複数回来店でメリットがある施策を通じてリピートを促します。
- 業態に合わせた接触戦略:
- 低接触業態(ラーメン屋など): コスパと付加価値(食べ放題など)で喜びを高める。
- 高接触業態(レストランなど): 積極的な提案やペアリングなどで接触回数を増やし、満足度を高める。
結論として、常連さんはいずれ来なくなると認識し、新規客で常に満席を保てる状態を作り、その上で常連が2~3割にできていれば、お店は非常に良い循環に入っていると言えます。





