脱サラ開業で失敗しない!1店舗目の「立地×業態×広告」選定ロードマップ

「いつか自分の店を持ちたい」「脱サラして飲食店を始める」という夢を抱く方は非常に多いですが、その最初の1店舗目、特に「立地」と「業態」をどのように選べば良いのか、ふんわりとしたイメージしかないという相談をよく受けます。
「どこでもいいし、何屋でもいい」という考え方では、残念ながら競争の激しい飲食業界で勝ち残ることはできません。最初の一歩でつまずかないためには、プロフェッショナルな視点から綿密な戦略を練ることが不可欠です。
この記事では、脱サラ開業を目指す方、そして1店舗目の経営をより確かなものにしたい方に向けて、絶対に失敗しないための「立地」「業態」「広告」の3つの選定プロセスを、具体的な考え方とともに徹底解説します。
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最初の最重要課題:「立地」の決め方

飲食店経営において、「立地」は集客の生命線です。マーケットが大きければ大きいほど、お客さんの数が多いのは当然ですが、その立地選定には戦略が必要です。
市場のボリュームと単価戦略
まず、例外的な事情(地方での開業必須など)がない限り、市場(マーケット)が大きい場所を選ぶのが基本です。市場が大きいということは、お客様のボリュームが大きいということだからです。
しかし、マーケットが大きい都心部では、良い物件は空いていませんし、家賃も初期投資も高くなります。そこで必要になるのが「単価戦略」です。
- 良い立地(マーケットのボリュームがある場所)で戦うには、ある程度の単価(3,000円以上など)を設定し、家賃や人件費などのコストをカバーできる収益構造を目指す
- 単価が低い業態(ラーメン、そば、うどんなど)は、客数に大きく依存するため、できるだけ人通りの多い場所を選ぶ
人通りと視認性を重視する業態の場合
客数を追求する業態(ラーメン屋や定食屋など)の場合、立地選定のポイントは「人通り」と「視認性」に尽きます。都心部であれば「人通りのあるローカル駅」、地方であれば「車通りの多いロードサイド」など、お客様が自然と足を運んでくれる場所を狙うのが鉄則です。
ただし、都心部で家賃の高い場所を取るのが難しい場合は、やむを得ずローカルな駅に降りていくことになります。その際も、単なる「人通り」だけでなく、次のポイントを必ずチェックしてください。
現状ではなく「将来性」で立地を判断する
ローカルな駅や地域を選ぶ際、多くの人は「今の現状」の人通りや賑わいだけで判断しがちです。しかし、プロは「将来性」を見ます。
自治体や市町村のホームページを見ると、その地域の人口推移(年代や男女比率を含む)が公表されています。このデータから、以下のどちらに該当するかを判断します。
- 人口が減少傾向にある地域
- 人口が増加傾向にある地域(日本全体の人口は減っても、外国人が増えているなど)
当然ながら、現状の人口が同じでも、今後人口が増えていく地域の方が、出店後の売上が上がり続ける可能性が高いです。都市開発の計画なども含め、「将来的に人が増えるかどうか」という視点で立地を見極めてください。
業態別の立地選定パターン
単価によって、狙うべき立地は大きく異なります。
- 客単価が低い業態(客数依存):人通りが多いところ(ロードサイド、駅前など)で、家賃とコストのバランスが取れる場所を探す
- 客単価が高い業態(3,000円以上):人通りが多くなくても、集客に強い「広告」さえ効けば問題なし。家賃のコスパを重視し、裏通りや空中階、地下といった「場所が悪い」とされる場所をあえて狙うのが戦略
勝てる「業態」の作り方:ターゲット属性に合わせる

立地を大まかに決めたら、次は「業態」を選定します。
脱サラ開業する人は「修行したからイタリアンをやりたい」というように、自分のスキルや経験から業態を決めてしまいがちですが、勝てる業態とは、立地が持つポテンシャルとターゲット属性に合致したものです。
「どこでもいいし、何屋でもいい」というブレた状態は、絶対に負けの原因となります。
立地と属性から逆算する
立地が決まると、その場所を行き交う人たちの「属性」がある程度見えてきます。
- 誰が歩いているか(属性):サラリーマンなのか、家族連れなのか、学生なのか、高齢者なのか。
- どの年代が多いか(年代):若い世代なのか、中高年なのか。
例えば、高齢者が多い巣鴨であれば、単価の安いラーメンよりも、そばやうどんの方が属性にマッチします。一方で、都心部のビジネス街であれば、男性サラリーマンが多く、単価の低い業態が当たる場所なら、彼らが好む「脂っこいもの」や「こってり系」のラーメン、またはボリューム感のある定食などが当たりやすいでしょう。
成功事例のベンチマーク
場所の属性が決まったら、他の町で「その属性の人たちが並んでいるお店」を探しに行くのが手っ取り早いベンチマークです。
例えば、「男性サラリーマンが多い町」だと特定できたら、他の場所で男性サラリーマンが並んでいるラーメン屋や定食屋を見て、
- 彼らが好む味(こってり系、二郎系など)
- ボリューム感
- 提供スタイル
を分析し、自分の業態に落とし込むことで、失敗する確率を極めて低くすることができます。
ただラーメンを出すのではなく、「誰に受ける、何の業態か」という視点を忘れないでください。
集客を左右する「広告」戦略の選定

立地と業態が決まったら、最後にその業態を最大限に活かす「広告」戦略を選定します。開業前にこの広告戦略まで意識しておくことが、成功の最後のピースです。
広告戦略は、これもまた「誰に刺すか」というターゲットによって選定が変わってきます。
業態とターゲットに合わせた広告チャネル
広告は、業態によって「当たりやすい」「当たりづらい」があります。
- ターゲットが若い世代・女性: 映える商品やサービスであれば、InstagramなどのSNS広告が有効です。
- ターゲットが中高年の男性:ラーメン屋など、油脂っぽいものや大衆的なものを好む層の場合、SNS広告は見られにくい傾向があります。
- この場合、古くからの王道である「チラシ配布」や「手配り」が有効です。
- あるいは、X(旧Twitter)で「この画面を見せたらトッピングサービス」といった、即効性のある特典付きの情報を出す方法が、分かりやすく集客につながります。
「誰に刺すか」を明確にした上で、そのターゲット層が最も見ている、または反応する広告チャネルを選定することが、集客成功の重要ポイントとなります。
まとめ:負けない経営を目指して

脱サラして飲食店を開業する場合、最初から「勝ちに行く」必要はありません。まずは「負けない」こと、つまり「大外れしない」ことが最も重要です。
今回ご紹介した
- 人口増加傾向のエリアや単価に合わせた立地選定
- ターゲット属性から逆算した勝てる業態選定
- 立地と業態に合わせた効果的な広告選定
この3つのプロセスを順序立てて実行することで、あなたの飲食店経営は成功への確かな一歩を踏み出すことができます。
「美味しいものを作りたい」という情熱だけでなく、プロの経営者が持つ「戦略的な視点」を取り入れ、絶対に負けない盤石な店舗基盤を築いてください。




