人手不足で廃業する?飲食店が人手不足になる理由とは

今、多くの飲食店が直面している最大の課題。それは売上が上がらないこと以上に、「人がいなくて営業が回らないこと」ではないでしょうか。
近隣の店舗を見渡せば、「人材不足のため2週間休業します」という貼り紙を目にすることも珍しくありません。2週間も店を閉めるとなれば、固定費や機会損失のダメージは計り知れず、そのまま廃業に追い込まれるケースも現実味を帯びてきます。
FLコストの変動が激しい昨今、どのようにアルバイトを採用し、定着させていくべきなのか。本記事では、求人広告の出し方から、選ばれる業態作り、離職を防ぐ社内コミュニケーションまで、現場で実践すべき具体的な戦略を解説します。
この記事でわかること
- 求人効果が最大化する「シーズン」と、採用費をPLに織り込む考え方
- 求職者から「働きたい」と思われる業態・条件の作り方
- 紹介(リファーラル)が自然に生まれる職場環境の整え方
▽記事の内容を動画で視聴したい方はコチラ
本記事のリンクには広告を含んでいます。
採用を「運」に任せない。勝てる時期の選定とコストの考え方

アルバイト採用に苦戦する店舗の多くは、人が辞めてから慌てて求人を出しがちです。しかし、労働人口が減少している現代において、場当たり的な募集で人が集まるほど甘くはありません。まずは、採用を経営計画に組み込む「攻め」の姿勢が必要です。
求人効果が最大化する「シーズン」を狙い撃つ
求人には、学生などの求職者が動く「波」があります。このタイミングに合わせて広告を投下することが、最も効率よく人材を確保するポイントです。
- 卒業・入学シーズン(3月〜4月):学生の入れ替わりが激しく、新しい生活に向けてバイトを探す層が最も増えます。
- 夏休み前(7月〜8月):長期休暇を利用してしっかり稼ぎたい層が動きます。
- 冬休み前(11月):年末年始のイベントや冬休みに向けて、短期・長期含めた需要が高まる時期です。
これら「求職者が働きたいと思うタイミング」を逆算し、ベースの求人活動を組み立てることが重要です。
採用費を「固定コスト」としてPL(損益計算書)に織り込む
多くの飲食店経営者は、利益を確保するために採用費を削ろうとします。しかし、これは非常に危険な考え方です。
人材が不足すると、残った現場スタッフに過度な負担がかかります。現場がつらくなれば、さらに離職が加速し、最終的には「一人しかいないから営業できない」という負のループに陥ります。これを防ぐためには、採用費を「必ずかかる必要経費」として、定期的にPLに織り込んでおくことが大前提です。
具体的には、2〜3ヶ月に一度、10万〜15万円程度の求人予算を継続的に確保するスタンスが、安定した店舗運営の鍵となります。
「働きたい」と思われる店とは?選ばれるための条件と業態作り

求人広告を出しても応募が来ない場合、根本的な「業態」や「条件」が市場のニーズとズレている可能性があります。求職者の目線に立った店づくりができているかを再確認しましょう。
若者や外国人スタッフが集まる「業態」の共通点
求職者がアルバイト先を選ぶ際、その店で働く自分をイメージできるかどうかは非常に重要です。
- 若者に人気の「オシャレ感」:カフェやデザイン性の高い店舗は、依然として若年層からの支持が厚いです。
- 外国人スタッフに選ばれる「シンプルさ」:日本語の習得状況に関わらず、オペレーションが標準化されており、複雑すぎないお店は働きやすく、離職率も低くなる傾向にあります。
もし現在の業態で採用が極端に難しい場合、大手企業が「採用のためにカフェを併設・運営し、そこから他業態へ人材を回す」という手法を取ることすらあります。それほどまでに「業態の魅力」は採用力に直結します。
妥協できない「条件面」の整備
時給の設定はもちろんですが、それ以外の「プラスアルファ」が他店との差別化になります。
- 時給:地域相場をカバーしていることは大前提。
- 福利厚生:まかない(無料)、交通費全額支給など、当たり前と思われる条件を漏れなく網羅すること。
- 立地:通いやすさは継続率に直結します。
これら「条件・立地・業態」の3軸が揃って初めて、求人広告の効果が発揮されます。
人件費を抑えながら現場を回す組織設計については、人手不足と人件費高騰を乗り越える!正社員を減らして利益を残すための飲食組織論もあわせてご覧ください。
離職を防ぎ、紹介を生む。「リファーラル」と組織文化の構築

新しい人を採用するのと同時に、今いるスタッフに長く働いてもらうための環境作りも不可欠です。そこで注目したいのが「リファーラル(紹介)」の仕組みです。
「楽しい職場」を戦略的に作る
「どうせ働くなら楽しい職場で、仲の良い友達と働きたい」というのは、アルバイトスタッフの本音です。この心理をうまく活用しましょう。
大々的に「紹介して」と触れ回るだけでなく、自然に紹介が発生するような空気感を作ることがプロのやり方です。例えば、「社内親睦会やランチ会の費用を会社が負担する」といった取り組みは非常に有効です。
- 経費での食事会:定期的にスタッフ同士がコミュニケーションを取れる場を設ける。
- 心理的安全性:仲が良い人が職場にいれば、多少大変なことがあっても「あの人がいるから頑張ろう」という抑止力が働きます。
時給が同じであれば、より「居心地が良い」「人間関係が良い」店に人は残ります。オーナー自らがスタッフの気持ちよく働ける環境をプロデュースすることが、結果として最も安上がりな採用戦略になるのです。
SNSや個人店ならではの戦略
個人店として独立される方の場合は、最初から友人・知人のツテを最大限に活用すべきです。また、SNSでの発信も「店舗に求人の貼り紙をする」のと同様の感覚で、日常的に継続することが大切です。そこから直接応募が来れば、広告費をかけずにマッチング度の高い人材を確保できるチャンスとなります。
一方で、採用できれば誰でもいいわけではありません。組織を壊してしまう人材の見極め方は、雇ってはいけない人材の特徴は?組織を崩壊させる5つの特徴で解説しています。
まとめ:人手不足を突破する「攻め」の飲食店経営
人手不足による休業や廃業を避けるためには、以下の3つのポイントを徹底することが重要です。
人手不足を突破する3つのポイント
- 採用を計画化する:求人ニーズが高まるシーズンを狙い、2〜3ヶ月に一度・10〜15万円程度の予算を継続的に確保する。
- 受け皿を整える:「オシャレさ」や「作業のシンプルさ」など、求職者ターゲットに合わせた業態・条件を提示する。
- 定着を促す仕組み:食事会などの交流支援を通じて「友達を呼びたくなる職場環境」を構築する。
人口減少により労働力の取り合いが激化する中で、人を集められること自体が強力な「競争優位性」になります。現場の負担を減らし、笑顔で接客できる環境を維持するために、今一度、貴店の求人戦略を見直してみてはいかがでしょうか。
「絶対に負けない飲食経営の学校」では、採用計画の立て方から定着の仕組みづくりまでを、無料のオンライン動画講座でも公開しています。



