「飲食店のクレーム対応の基本って何?」
「飲食店のクレーム対応ではどのような点に注意すればよい?」
「飲食店で起こる代表的なクレームについて知りたい」
本記事では上記の疑問や要望などにお応えします。
飲食店を開業する方の中には、クレーム対応の効果的な方法がわからずに不安を感じている方もいるでしょう。
クレームは見方によって、お客さんをリピーターにしたりお店のサービスや商品を改善したりする材料にできます。
そこで今回は、飲食店のクレーム対応の重要性や基本、注意点などを具体的に解説します。
最後まで読めば、飲食店の適切なクレーム対応の方法について理解できるでしょう。
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飲食店のクレーム対応の重要性2つ
飲食店はお客さん相手の商売で、開業後にクレームを0にすることは難しいと言えます。
だからといって、クレームを軽視するのはよくありません。
ここから、クレーム対応の重要性について解説します。
①お店の信用に関わってくる
飲食店でクレーム対応が重要になるのは、お店の信用に関わってくるためです。
もしお客さんからクレームを受けた場合、いい気になる方は1人もいないでしょう。
お客さんにもよりますが、言いたくてクレームを言ってくる人は基本的にいません。
たった1人のクレームであったとしても、対応を疎かにするとSNSや口コミサイトなどに悪い評判を流される恐れがあります。
悪い評判は広まりやすい傾向にあり、新規のお客さんの来店に影響が出るケースもあるでしょう。
一方で、お店の対応次第では、クレームを言ってきたお客さんでもリピーターにできる可能性があります。
信頼性を獲得するには、なるべく迅速に対応するのがポイントです。
飲食店の接客で好印象を与える基本3つとは?心構え4つも徹底解説!②商品やサービスを向上させられる
飲食店でクレーム対応が重要なのは、クレームを通してさまざまな気づきを得られるためです。
お客さんがお店に対して些細な不満を持ったとしても、基本的に教えてはくれません。
何も言わずに、2度と来店しなくなるケースが一般的です。
見方を変えると、クレームを通してお店にとって必要な点を教えてもらっているとも言えます。
たとえば、日清食品の場合、主力商品の「チキンラーメン」に、CMのように卵がきれいに乗せられないとのクレームが寄せられました。
日清食品では、1年かけて商品を改良し「たまごポケット」の開発に成功します。
さらに、すべての工場の生産ラインを改修するなど、時間とお金を掛けた一大プロジェクトとなりました。
改良された新商品を発売した2003年は、過去最高の売上を達成することに成功しています。
クレームを前向きに受け取ることにより、大きな成功を収めた事例の1つです。
飲食店のクレーム対応の基本4つ
飲食店でクレームを受けた場合に適切な対応をするには、まずは下記の基本を抑えることがポイントです。
- 気分を害させたことに対してのみ謝罪する
- しっかりとお客さんの話を聞く
- スタッフだけに対応を任せない
- 具体的な解決策を提示する
ここから、クレーム対応の基本について具体的に解説します。
①気分を害させたことに対してのみ謝罪する
クレームを受けた場合、お客さんの気分を悪くさせたことに対して、まず謝りましょう。
悪質なクレーマーの可能性もあり、気分を悪くさせた点についてのみ謝るのがポイントです。
お店に対してクレームを言っても、基本的にお客さんは良い気持ちになるわけではありません。
それでもクレームを言うということは、よほど気分を悪くさせることがあったのだと解釈できます。
怒りで冷静さを失っているケースもあり、謝罪することによって、落ち着いて話ができる状態にします。
②しっかりとお客さんの話を聞く
お客さんが冷静に話せる状態になった場合、しっかりとお客さんの話に耳を傾けましょう。
苦悩や怒りなどの感情を話すことによって、気持ちが軽くなり安心感を得やすくなることが判明しているためです。
心理学では「カタルシス効果」といわれており、話すだけで心が楽になる効果が期待できます。
お客さんの話を繰り返したり神妙な顔つきを意識したりすると「しっかり話を聞いてもらっている」と思われやすくなります。
お客さんの話しを聞いている途中で、反論したり弁明したりしたくなるかも知れませんが、最後までしっかり聞くのがポイントです。
決して感情的にならずに、冷静さをキープするように意識しましょう。
③スタッフだけに対応を任せない
お客さんがスタッフに対してクレームを言ってきた場合、スタッフだけに対応を任せないのが基本です。
お客さんによっては「お店の責任者に謝ってほしい」と思っているケースがあるためです。
クレーム対応は最初が重要といわれるように、スタッフがいかに適切な対応をできるかがポイントになります。
しかし、心を込めて話を聞いたり謝ったりしても、お客さんの気持ちが収まらないケースもあります。
スタッフから事情を詳しく聞いたうえで、お客さんに直接謝罪し、再発防止の説明をするなどの対応をしましょう。
④具体的な解説策を提示する
飲食店のクレーム対応の基本は、具体的な解決策を提示して納得してもらうことです。
具体的な解決策としては、返金や料理の作り直しなどがあげられます。
ただし、お客さんの都合に合わせることがポイントで、料理を作り直している時間がない場合などは、お客さんに合わせた対応が求められます。
お客さんが帰るときは、見送ったりあらためて謝罪と感謝の言葉を伝えたりするのがポイントです。
苦情処理を通して、お店のファンになってもらえる可能性が高いことは「グッドマンの法則」によっても解明されています。
グッドマンの法則では、具体的に以下の点がわかっています。
- 不満を持った顧客のうち、苦情を申し立て、その解決に満足した顧客の当該商品サービスの再入決定率は、不満を持ちながら苦情を申し立てない顧客のそれに比べて高い
- 苦情処理に不満を抱いた顧客の非好意的な口コミは、満足した顧客の好意的な口コミに比較して、2倍も強く影響を与える
クレームを言われたときにどのように対応するかによって、売上が左右されるとも言えます。
飲食店の代表的なクレーム5つ
飲食店で寄せられるクレームは、下記の5つに分けられるのが特徴です。
- 髪の毛や虫などの異物混入に関するもの
- スタッフの接客態度に関するもの
- 待ち時間に関するもの
- 腹痛や食中毒など健康に関するもの
- 料理の味に関するもの
ここから、飲食店の代表的なクレームについて具体的に解説します。
①髪の毛や虫などの異物混入に関するもの
飲食店の代表的なクレームとして、異物混入に関するものがあげられます。
髪の毛や野菜についていた虫などが原因となりますが、最も多いのが髪の毛です。
お客さんの髪の毛が混入した可能性もありますが、すぐに謝罪して料理を下げるのが基本的な対応になります。
スタッフに確認したうえで料理を作り直し、お客さんに対してお詫びと、再発防止策について説明しましょう。
異物混入は起こりやすいものの、SNSなどで拡散されるリスクがあり軽視できません。
調理場の丁寧な掃除や食材の適切な下処理、身だしなみを整えるなど、お店の衛生管理を徹底するのが望ましいです。
②スタッフの接客態度に関するもの
飲食店のクレームとして、スタッフの接客態度の悪さに関するものがあげられます。
特に、忙しい時間帯では、接客が雑になりやすく注意が必要です。
クレームの対象となったスタッフに事実確認したうえでお客さんに謝り、スタッフ教育を徹底させる点について伝えましょう。
店舗を開業するときは、なるべく適切に人員配置したり、シフト管理したりすることが求められます。
人件費はお店の経営に与える影響が大きく、なるべく少なくしたいと考えるもしれませんが、ある程度は必要経費として割りきることも必要です。
③待ち時間に関するもの
飲食店の代表的なクレームとして、席の案内や料理の提供など、待ち時間に関するものがあげられます。
特に、混雑する時間帯では、料理の提供時間に関してのクレームを受けやすくなるでしょう。
空腹時には少しでも早く料理を食べたいとの思いから、お客さんは提供時間や順番に対して敏感になる傾向にあります。
料理を提供するまでの時間は決められており、オーダーを受けるときに目安の時間を伝えておくのがポイントです。
注文されたメニューにもよりますが、ドリンクやサイドメニューを先に提供することで、メインを提供するまでの時間をつなぐ効果が期待できます。
券売機やタブレット端末を導入して、オーダーを取る時間の短縮も1つの方法です。
④腹痛や食中毒など健康に関するもの
飲食店の代表的なクレームとして、お客さんの健康に関するものがあげられます。
場合によっては廃業のリスクがあり、特に慎重な対応が求められます。
謝罪したうえで、初回の治療費を負担するのが基本で、病院からの診断書を提出してもらいましょう。
腹痛や食中毒などの対応方法は、具体的に下記のとおりです。
- 謝罪する:不快な思いをさせたことに対して謝罪する
- 事実を確認する:症状の経過や来店した日時、食べた料理など
- 病院での診察をお願いする:領収書と診断書をもとに費用を支払う
- 原因を調査する:食材を部分的に保管しておき、保健所などに調査を依頼する
- お客さんに報告する:調査結果を踏まえて、お客さんに報告する
- 慰謝料の支払いなど:お店に原因のある場合、慰謝料の支払いなどの対応をする
食中毒は1年を通して発生しており、毎日の掃除や食材の管理をしっかりすることが求められます。
⑤料理の味に関するもの
飲食店の代表的なクレームとして、料理の味に関するものがあげられます。
一般的に人によって味の好みは異なり、比較的受けにくいクレームだと言えるでしょう。
しかし「味が濃い」「味が薄い」など同じ内容のクレームを何度も受ける場合、調理の仕方に問題のある可能性が高いです。
スタッフも含めて味見するなど、レシピを見直したり提供をやめたりするのが1つの方法になります。
ただし「まずかったから無料にしてほしい」といいつつ、完食しているお客さんには注意が必要です。
理不尽なクレームとして捉え、毅然とした対応をするのが望ましいです。
場合によっては、警察に通報するなどの対策を取るのが効果的になります。
飲食店でクレーム対応するときの注意点2つ
飲食店でクレーム対応する時は、お客さんが冷静さを失っているケースもあり、慎重に対応することがポイントです。
- お客さんの怒りを増幅させないようにする
- お客さんの間違いを指摘しない
ここから、上記の点について具体的に解説します。
①お客さんの怒りを増幅させないようにする
クレーム対応時の注意点は、お客さんと接するときに些細な言動にも注意を払う点になります。
不適切な対応をすると、余計にお客さんを怒らせる可能性があるためです。
注意したい言動とは、具体的に下記のとおりです。
- 適切にうなずく:「うん」ではなく「はい」「ええ」と答える
- 責任逃れしない:「私は担当ではありませんので…」と言わず、謝罪して話を聞く
- 店のルールを押しつけない:「そういうルールなので…」とは言わない。お客さんには関係のないこと
- 開き直らない:「じゃあどうすればいいんですか」とは言わず、あくまで冷静に対処する
クレームを受けた場合に備えて、スタッフには対処方法を伝えたりマニュアルを作成したりすると効果的です。
②お客さんの間違いを指摘しない
クレーム対応時の注意点として、お客さんの間違いを指摘しないようにする点があげられます。
間違いや勘違いは誰にでも起こりうるもので、指摘することで余計に怒らせる可能性があるためです。
もしお客さんの間違いによるものだとしても「こちらの配慮不足で申し訳ありません」と謝ることで、納得してもらいやすくなるでしょう。
同じようなミスを防ぐためには、具体的な再発防止策をとるのがポイントです。
飲食店のクレームに関するよくある質問
飲食店のクレームに関してよくある質問をまとめました。
- 理不尽なクレームへはどのように対処すればよいですか?
- 電話でクレームを受けたときの対処方法はありますか?
- お客さんに返金する場合にはどのように対処すれば良いですか?
ここから、上記の質問にお答えします。
理不尽なクレームへはどのように対処すればよいですか?
基本的な姿勢としては、下記のように一般的なクレームを受けるときと同じです。
- 理不尽なクレームだと決めつけずに、不快な思いをさせたことに対してお詫びする
- 筋が通らないと感じた場合でも、反論せずに最後まで話しを聞く
- 煽られたり罵られたりしても感情的にならずに対処する
議論せずに、まずはお客さんの気持ちを理解しようとするのがポイントになるでしょう。
電話でクレームを受けたときの対処方法はありますか?
クレーム内容を聞き漏らさないようにするために、メモをとるのが望ましいです。
日時や状況を聞いたうえで、まずは嫌な気持ちにさせたことに対して謝罪するのがポイントになります。
電話口になりますが、何かしらの解決策を提示しましょう。
お客さんに返金する場合にはどのように対処すればよいですか?
まずはお客さんの話を詳しく聞いたり、レシートを確認したりして状況を把握します。
スタッフが担当した場合、スタッフからも話を聞いたうえで返金に応じるか判断しましょう。
当日中であれば事実確認できますが、後日の場合は難しいケースもあるでしょう。
飲食店を開業する前にクレームへの対処方法を考えておきましょう
ここまで、飲食店のクレーム対応の重要性や基本、注意点などを解説してきました。
本記事のまとめは下記のとおりです。
- お店の信頼性をあげられる点や商品・サービスを向上させられる点から重要
- お客さんにお詫びしたり、話を聞いたりすることがクレーム対応の基本
- 異物混入や接客態度に関するものなどが代表的なクレーム
- 些細な言動に注意を払ったり、お客さんの間違いを指摘しないようにする
本記事を参考に、飲食店のクレームに関して理解していただければ幸いです。