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【完全版】移動販売(キッチンカー)でパン屋を始める5つの方法!成功のコツや必要な許可も解説【2021年7月改訂】

「パンの移動販売って、どうやって始めるの?」
「設備を揃えるのに、費用はいくらかかる?」
「許可や手続きは必要?」

イベントや街中で見かけることのある、パンの移動販売。独立してチャレンジしてみたいと思う方もいるのではないでしょうか。

しかし、実際に始めるとなると、何から手を付ければ良いのかわかりづらいもの。パンの提供方法1つで、必要な手続きも変わるのです。

そこで本記事では、パンの移動販売について徹底調査した上で、以下の点を紹介します。

  • 商材としてパンを選ぶメリット・デメリット
  • パンの移動販売の始め方
  • 必要な設備や器具
  • 必要な資格や許可

この記事を読めば、パンの移動販売に関する疑問点を解決できます。最短で移動販売を始められるように、ぜひ参考にしてください。

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移動販売(キッチンカー)についての基礎知識

移動販売(キッチンカー)についての基礎知識

移動販売とは、自動車などで商品を提供する営業形態のことです。ひと口に移動販売と言っても様々な種類があります。大きく分けると以下の3つ。

  • キッチンカー(調理営業)
    (例:クレープ屋)
  • 食料品販売
    (例:移動スーパー)
  • 食品以外の販売
    (例:花屋)

車の中で料理をするか、食品を売るだけなのかによって、分類が変わります。パンの移動販売の場合は、車内で行う工程によって、調理営業か販売業かが決まります。

移動販売の基礎知識については、「移動販売の開業方法!必要な資金や資格・成功のコツ」「キッチンカー・移動販売の開業方法6ステップ」でさらに詳しく解説しています。ぜひ、あわせてご覧ください。

移動販売(キッチンカー)の商材としてパンを選ぶ3つのメリット

移動販売(キッチンカー)の商材としてパンを選ぶ3つのメリット

移動販売(キッチンカー)の商材としてパンを選ぶメリットは、3つあります。

  1. 主食なので安定した需要がある
  2. 豊富なメニュー展開が可能
  3. 食事の時間帯でなくても売れる

以下でそれぞれ説明していきます。

1. 主食なので安定した需要がある

パンはお米と双璧を成す日本人の主食ですから、今後も安定した需要が見込めます。

たとえば農林水産省のデータによると、2008年以降の家計におけるパン類への支出額は、米への支出額を上回っているのです。2012年においては、パンへの支出額が米の支出額を13%も上回っていました。
参考:農林水産省|食料消費構造の変化 イ 世帯構造の変化と食料消費の構造

また、日本政策金融公庫によると、高齢世代の朝食はごはんよりもパンの方が多いというデータも出ています。
参考:日本政策金融公庫|平成28年度上半期消費者動向調査

以上のことからも、パンの需要は今後も安定して高いと言っていいでしょう。

2. 豊富なメニュー展開が可能

パンは豊富なメニュー展開ができることで、お客さんに飽きられづらいこともメリットです。

事前に製造や仕入れをして販売するだけであれば、種類が増えても車内でのオペレーションはあまり複雑になりません。

また、パン1つ1つは他の商材と比べてスペースを取らないので、複数の種類をキッチンカーに積み込みできます。

3. 食事の時間帯でなくても売れる

パンは主食でありながら、食事以外の時間帯にも売れることが大きなメリットです。

冷めても味の低下が少ないので、「今すぐ食べるわけではない」という人も購入します。明日の朝ごはんとしてパンを買う人も少なくありません。

また、食事のタイミングではなくても、小腹がすいたときの間食として売ることも可能です。

移動販売(キッチンカー)の商材としてパンを選ぶ3つのデメリット

移動販売(キッチンカー)の商材としてパンを選ぶ3つのデメリット

ここまでメリットをお伝えしてきましたが、パンの移動販売にはデメリットも3つあります。

  1. パンづくりに手間と時間がかかる
  2. 流行り廃りがある
  3. 季節や天気に左右される

1つずつ見ていきましょう。

1. パン作りに手間と時間がかかる

パンを仕入れて売るスタイルではなく、自分で作る場合は手間がかかります。特に、パン生地から作るなら、仕込みの時間が必要です。

また、車内で焼成する場合は、オーブンで焼き上がるまでに15分ほど要します。提供スピードが落ちることにより、売上が落ちることもあるかもしれません。

効率化を重視するなら、生地を仕入れて焼いたり、焼成済みのパンを仕入れたりする方法もおすすめです。

2. 流行り廃りがある

パンには一時的にブームになるものがあります。たとえば、これまでなら食パン・塩パン・メロンパンなどがその代表例。

うまく流れに乗れば売れますが、流行期間が短い場合もあります。すぐにブームが終わってしまうと、メニュー開発の手間やコストを回収できません

そのため、トレンドを見極めることが大事。流行りそうならすぐに乗っかり、下火になってきたらラインナップから外すなど、切り替えることで対応しましょう。

3. 季節や天気に左右される

移動販売は基本的に屋外で営業するため、実店舗よりも季節や天気の影響を受けやすいです。さらに、真夏は冷たい麺が売れ、寒い日は温かい汁物などが人気。パンが売れにくい日もあります。

そのため、季節に合わせたメニューを提供するといった対策が必要です。

たとえば、夏はスタミナ重視で、肉をはさんだ調理パンにすると食欲をそそります。冬は揚げパンや蒸しパンをその場で温めて出すのも良いでしょう。

移動販売(キッチンカー)の商品としてパンを準備する5つの方法

移動販売(キッチンカー)の商品としてパンを準備する5つの方法

ここからは、移動販売を始めるにあたって「どのような方法でパンを準備するか」を紹介します。主な方法は次の5つ。

  1. パン生地から製造して売る
  2. 仕入れたパン生地を焼いて売る
  3. 既製品のパンに手を加えて販売する
  4. 委託製造したパンを販売する
  5. 自分のお店で作ったパンを移動販売で売る

以下、それぞれ説明していきます。

1. パン生地から製造して売る

1つ目は、パン生地から自分で作って売る方法。個性を出して、オリジナル商品を売りたい人におすすめです。

ただし、キッチンカーの給排水タンクの容量は「40L・80L・200L」の3種類があるうち、車内で生地を作れるのは、200Lタンクを積んでいる車のみ。40L・80Lのタンクのキッチンカーでは、生地作りは許可されません

そのため、通常サイズの車輌で生地から作る場合は、キッチンカーとは別に仕込み場所が必要となります。

2. 仕入れたパン生地を焼いて売る

パン生地を業者から仕入れて、自分で焼いて提供する方法もあります。冷凍のパン生地を販売している業者などから購入可能です。

たとえば、パントーネの場合は最低10ケースから仕入れでき、翌々日から5日後までに配達されます。

また、パン屋のフランチャイズに加盟して、パン生地を購入することも可能です。

参考:パントーネ

3. 既製品のパンに手を加えて販売する

パンは既製品を使い、調理パンを作って売るパターンもあります。たとえば、コッペパンや食パンなどの既製品を利用した、以下のようなパンです。

  • サンドイッチ
  • 焼きそばパン
  • ホットドッグ

惣菜をはさむだけならキッチンカーの中でも可能で、仕込み場所は必要ありません。

4. 委託製造したパンを販売する

自分でパンを作らずに委託製造する方法もあります。菓子製造業の許可を取っているお店や業者に、自分の代わりに作ってもらうのです。

この場合、個包装した状態で車に積み込めば、保健所の許可も不要。仕込み場所を用意することもなく、自分の商品を売り出せます。

ただし、発注できるロット数などは要相談となっており、少ないと対応してもらえない可能性もあります。

5. 自分のお店で作ったパンを移動販売で売る

5つ目は、自分のお店で作ったパンを移動販売で売る方法。これは、すでにパン屋を開業している人向けです。

実店舗の宣伝や販路拡大のために、移動販売を始めてみるのは選択肢の1つとなります。

【9つのステップ】パンの移動販売(キッチンカー)の始め方

【9つのステップ】パンの移動販売(キッチンカー)の始め方

ここからは、実際にパンの移動販売を始める手順を紹介します。以下9つのステップで進めていきましょう。

  1. 営業エリアを決める
  2. 販売スタイルやメニューを決める
  3. 保健所に事前相談をする
  4. 移動販売車(キッチンカー)を用意する
  5. 仕込み場所を探す
  6. 資格取得や許可・届出の申請をする
  7. 出店場所を決める
  8. 備品や食材の手配をする
  9. 出店する

なお、移動販売の始め方については「移動販売の開業方法!必要な資金や資格・成功のコツも解説」の記事で、詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

1. 営業エリアを決める

移動販売の営業許可は、出店場所を管轄する保健所へ申請します。複数の都道府県で営業する場合は、自治体ごとに許可を取らなければなりません。

地域によっては、都道府県の許可の他に、各市の保健所でも申請が必要となります。そのため、営業エリアを最初に決めておきましょう。

2. 販売スタイルやメニューを決める

次に、前述した「パンを用意する方法」や、提供メニューを考えます。以下のような内容によって、必要な許可・届出が異なるためです。

  • パンを生地から作るか、販売のみを行うのか
  • 車内で調理や盛り付けは行うのか

たとえば、ホットドッグを作ったり、揚げパンを揚げたりするのも営業許可が必要となります。最初に決めておきましょう。

3. 保健所に事前相談をする

パンの用意のしかたなどを考えたら、キッチンカーを購入する前に、保健所へ相談しましょう。保健所の担当者や地域によって見解が異なる場合があるためです。

自分の計画通りに進められるかどうか、以下のような点を確認します。

  • 必要な設備と基準
  • 実現可能なメニューや品目数・調理工程
  • 仕込み場所の必要性
  • 申請してから許可までの日数

特に、予定しているメニューの提供可否や、必要なタンクの容量などは要チェックです。

また、実際に許可がおりるまでの日数は、1日や1週間など保健所によって異なります。イベントに出店したい場合は日程をずらせないので、忘れずに確認しておきましょう。

4. キッチンカーを準備する

保健所に条件を確認できたら、キッチンカーを用意します。車輌の購入や設備・外装の改造などを行いましょう。

キッチンカーを用意する方法については、本記事内の「パンの移動販売に必要な4つの設備」をご参照ください。

5. 仕込み場所を探す

キッチンカーでは簡単な加熱や盛り付けしかできないため、パンを用意する方法によっては一次処理を行う場所が必要となります。

たとえば、パン生地から作る場合は、仕込み場所が必要です。一方、成形済みの生地を仕入れて焼くだけであればキッチンカーでも可能で、仕込み場所は必要ありません。

仕込み場所については「仕込み場所がいらない移動販売の方法3選を解説!」で詳しく説明していますので、そちらもあわせてご覧ください。

6. 資格取得や許可・届出の申請をする

キッチンカーや仕込み場所を準備できたら、資格や許可を取りましょう。パンを用意する方法や提供メニュー・調理工程に合わせて、必要な許可を取得してください。

パンの移動販売で必要となる許可等は、主に以下の3つ。

  • 食品衛生責任者
  • 保健所の営業許可または届出
  • 出店場所の許可

それぞれの資格・許可の内容については、本記事内の「パンの移動販売に必要な資格や許可」に記載しています。

また、許可や届出に関して、さらに詳しい内容は「移動販売(キッチンカー)の営業許可の取り方まとめ」で解説していますので、参考にしてみてください。

7. 出店場所を決める

次に、出店する場所を決めましょう。早い段階から場所探しを始めておき、許可申請を終えたら出店交渉をするとスムーズです。

場所の探し方としては、以下のような方法があります。

  • スーパーやショッピングモールへ直接交渉する
  • 出店場所のマッチングサイトで探す
  • イベント情報をチェックする

スーパー等への直接交渉は、最初のうちは少しハードルが高いかもしれません。そのため、まずはマッチングサイトを利用するのがおすすめです。

またイベント団体の最新情報を、SNSなどで随時チェックしておくのも良いでしょう。

8. 備品や食材の手配をする

出店場所を決めたら、備品や商品・食材を揃えましょう。調理器具やテイクアウト用の袋などを購入します。

具体的に準備するものは、行う調理工程によっても異なります。本記事内の「パンの移動販売に必要な4つの設備」を参考にしてみてください。

9. 出店する

ここまでの準備が完了したら、実際に出店しましょう。

必要な設備や取得するべき許可については、この後でさらに詳しくお伝えしていきます。

パンの移動販売(キッチンカー)に必要な4つの設備

パンの移動販売(キッチンカー)に必要な4つの設備

パンの移動販売で揃えるべき設備は、以下4つです。

  1. 移動販売車(キッチンカー)
  2. 厨房設備・調理器具
  3. 備品類
  4. パンの原材料または既製品

1つずつ見ていきましょう。

1. 移動販売車(キッチンカー)

移動販売をするには、まずキッチンカーが必要です。車輌を用意する方法は、大きく分けて4つあります。

  • 購入する:新車・中古
  • レンタルする:1日2万円程度
  • DIYで作る:約100万円~

購入する場合、新車は約200万円から、中古は約100万円からが目安。中古車販売の検索サイトでも探せます。

必要な広さや、どのように設備を配置するかは、車内で調理をするかどうかによって異なります。そのため、最初に販売スタイルをしっかり決めておくことが大切。

たとえば、個包装されたパンを売るだけであれば、トレイに入れて荷台に積む方法もあります。また、ワンボックスカーやトラックなどで、サイドを開けてすぐのところに陳列棚を設置するケースも多いです。

キッチンカーの用意のしかたについては、以下の記事でも詳細に説明していますので、ぜひご覧ください。

>>中古で用意する場合:キッチンカーの中古車を購入するメリット3選!相場や選び方のポイントを解説
>>レンタルする場合:キッチンカー・移動販売車のレンタルは可能!料金の相場や借りるときの注意ポイントを解説
>>DIYで作る場合:キッチンカーの自作手順を4ステップで解説!費用や車検に通るための方法とは

2. 厨房設備・調理器具

厨房設備・調理器具は、仕込み段階で使うものや、最後の焼成や調理で使うものに分かれています。

パンの焼成に使う設備

パンを焼く場合は、ガスオーブンまたはガスコンベクションが必須です。ガスコンベクションとは「電子レンジとオーブン」の機能が使える設備機器です。

ガスオーブンは、通販サイトで10~20万円程度で購入できます。
参考:テンポスドットコム|ガスオーブン

家庭用だと予熱が必要で提供スピードが落ちるので、おすすめなのは業務用。サイズとしては、車内のスペースに余裕がない場合、卓上タイプが良いでしょう。

チェック項目は対応しているガスの種類です。キッチンカーで使う場合はプロパンガスでの利用となることが多いので、忘れずに確認してみてください。

パンの調理に使う設備

調理に使う設備は、提供するメニューによります。

たとえば、揚げパンを車内で揚げるなら、フライヤーが必要です。

パンの仕込みに使う設備・器具

車内ではパンの生地づくりを行えないため、仕込みに使う器具は、基本的にキッチンカーの中には不要です。使う場合は、仕込み場所に用意しておきましょう。

参考までに、生地作りでは以下の設備や調理器具などを使います。

  • 電子発酵器
  • 業務用ミキサー
  • はかり(キッチンスケール)
  • 計量カップ
  • 温度計
  • 調理器具(ボウル・麺棒・へらなど)

発酵器は、一定の温度に保って生地を発酵させるための機械です。通販サイトで3~5万円程度で購入可能。

業務用ミキサーは、生地を手でこねない場合に利用するもの。効率よく作れるので、あると便利な機械です。

その他、温度計は水や材料の温度を計るために使います。

3. 備品類

備品類で用意するものは、主に以下の2種類です。

  • 販売時に使う用具(トレイ・トングなど)
  • テイクアウト用品(袋、ナプキンなど)

パンが個包装されている場合は、トレイやトングは不要。袋やナプキンは、包装用品の専門店や、ネットで購入可能です。提供するメニューに合わせて用意しましょう。

4. パンの原材料または既製品

パンを生地から作るのか、既製品を仕入れるのかなどに合わせて、必要な原材料を仕入れましょう。

仕入れる食材の種類は、主に以下の4パターンです。

  • パン生地の原材料
  • パン生地のみ
  • 焼き上がった状態のパン
  • 具材

パン生地から作る場合は、小麦粉・イースト・バターなどの原材料を用意します。

また、メニューに合わせてソーセージや卵、ジャムやチョコレートなどの具材を購入。パンは既製品を使い、惣菜をはさんで売ることも可能です。

購入金額の目安は原価率30%程度22日稼働で月100万円の売上を目指す場合は「100万÷22日=約45,000円」が1日の売上目標です。

よって、1日あたりの材料費は、15,000円程度が目安となります。

パンの移動販売(キッチンカー)に必要な資格や許可

パンの移動販売(キッチンカー)に必要な資格や許可

パンの移動販売を行うには、以下の資格や許可が必要となります。

  • 食品衛生責任者の資格
  • 保健所の営業許可または届出
    (キッチンカーの飲食店営業の許可)
    (仕込み場所の菓子製造業の許可)
    (キッチンカーの販売業の届出)
  • 出店場所の許可

パンの提供方法によって取得するべき許可も異なるので、参考にしながら申請準備を進めてみてください。

食品衛生責任者の資格

食品衛生責任者は移動販売に限らず、飲食店を開業するなら必須となる資格です。パンを製造する場合も、販売のみの場合も必要となります。

難しそうな資格に感じるかもしれませんが、1日講習を受ければ資格を取得可能。各都道府県の食品衛生協会で講習が開催されています。なお、栄養士・調理師免許を持っている場合は講習不要です。

保健所の営業許可または届出

保健所の申請は、営業許可と届出の2種類。さらに営業許可には飲食店営業と菓子製造業の許可があり、どのようにパンを提供するかで、必要な許可が異なります

以下で、パンの移動販売に必要な許可・届出についてお伝えしていきます。

なお、許可の種類や取り方については「【最新版】移動販売(キッチンカー)の営業許可の取り方」の記事で詳しく解説しているので、ぜひそちらもご覧ください。

キッチンカーの飲食店営業の許可

キッチンカーの中で調理や盛り付けを行う場合には、飲食店営業の許可が必要です。

<飲食店営業の許可が必要な例>

  • 移動販売車の中でオーブンを使って焼く
  • 揚げパンを車内で揚げる
  • 既製品のパンに具材をはさんで調理パンをつくる

仕込み場所の菓子製造業の許可

パンの生地作りは、通常はキッチンカーの中では行えません。給排水タンクが40L・80Lの場合は簡単な加熱や盛り付けしか許可されないためです。

タンク容量200L以上のキッチンカーなら、固定の店舗と同様の調理を行えますが、パンを売るには大きすぎる車輌となり、現実的ではないでしょう。

そのため、生地から作る場合は、キッチンカーの許可とは別に、仕込み場所でも営業許可を取る必要があります。

2021年6月の改正以降、キッチンカーの許可においては、菓子製造業が飲食店営業許可へ統合されました。しかし、仕込み場所の場合は従来通り、菓子製造業の許可を取得することとなります。

<仕込み場所の菓子製造業の許可が必要な例>

  • 仕込み場所でパン生地を作る
  • パン生地を発酵する
  • 仕込み場所でパンを焼く

パンを焼く行為は、仕込み場所・キッチンカーのどちらでも可能です。

キッチンカーの販売業の届出

キッチンカーの中で調理を行わず、販売のみをする場合は、許可ではなく届出の対象となります。

<届出が必要な例>

  • 既製品のパンの販売のみを行う
  • パンの製造を外注して、個包装した状態で販売する
  • 仕込み場所や自分のお店で製造済みのパンを個包装して売る

なお、届出のみの場合は設備要件がないため、保健所によるキッチンカーのチェックもありません。

出店場所の許可

移動販売車(キッチンカー)で営業するためには、出店場所の許可も必要です。たとえば、以下のような出店場所があります。

  • フェス・マルシェ
  • オフィス街・住宅街
  • ショッピングモール・スーパー
  • 観光施設・遊園地・公園
  • 道の駅・高速道路のサービスエリア
  • 住宅展示場
  • 大学

許可の取り方は場所によって異なりますが、以下がその一例です。

  • ホームページから申し込み(イベントなど)
  • 仲介業者を介して依頼
  • 自分で直接交渉

比較的成功率が高い方法は、キッチンカーの受入実績がある場所へ申し込みを行うこと

慣れるまでは大きい商業施設だと断られることが多いですが、個人商店や個人所有の空きスペースだと交渉しやすいです。

パンの移動販売(キッチンカー)で成功する4つのコツ

パンの移動販売(キッチンカー)で成功する4つのコツ

パンの移動販売を成功させるには、4つのコツがあります。

  1. 市場調査をする
  2. 流行と定番のメニューを両方扱う
  3. ランチのニーズがある場所で売る
  4. 事業計画書を作る

1つずつ説明していきます。

1. 市場調査をする

成功するためには、市場調査が必須です。たとえば、以下のようなことを行いましょう。

  • コンビニやスーパーで人気のパンを調査する
  • 移動販売に限らず、他のパン屋にどんなパンがあるか視察する

他店で店頭に並んでいるパンは、そのお店がお金と時間をかけてマーケティングやメニュー開発を行った結果販売に至ったもの。なおかつ、売れているパンは需要があることも実証されています。

これを真似しない手はありません。メニュー開発のコストを削減しながら、売上を上げられます。

2. 流行と定番のメニューを両方扱う

流行商品の1品だけに売上を頼るのは危険です。デメリットでもお伝えしたとおり、突然ブームが終わることもあります。

その一方で、話題性による集客効果もあるので、トレンドは効果的に取り入れたいところ。定番メニューも扱うことで、バランスをとりながら売上の波を軽減させると良いでしょう。

3. ランチのニーズがある場所で売る

パンはランチを手軽に済ませたい人に人気の商品です。そのため、ビジネスマンや学生など、お昼休みの時間が限られていて、忙しい方が狙い目。

オフィス街や大学生の住む地域など、ターゲット層が多くいる場所で売ってみましょう。

4. 事業計画書を作る

移動販売で開業するなら、大前提として事業計画書をしっかり作ることが何より大切。事業計画書には、創業の動機や事業の将来目標・事業の課題などを書きます。

さらに具体的な内容として、以下のような項目も記載。

  • 事業の内容・特色(セールスポイント)
  • 販売・仕入計画
  • 設備計画

どのような販売戦略でパンを売るのか、単価はいくらに設定するのか、などを考えて書きます。この時点で計画を作り込んでおけば、行きあたりばったりの営業で失敗するリスクはかなり低くなるでしょう。

書類を作るのが苦手な方は、フランチャイズに加盟したり、コンサルを活用したりするのも1つの方法。ぜひ、しっかりとした事業計画書を作っておきましょう。

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