「飲食店の深夜営業許可って何?」
「飲食店の深夜営業許可を取るにはどんな手続きをすればいい?」
「飲食店の深夜営業許可を取るには設備などの面で条件がある?」
本記事では上記のような飲食店の深夜営業許可に関する疑問にお答えします。
飲食店の深夜営業を始める場合、どんなときに深夜営業許可が必要なのか分からない方もいるでしょう。
深夜営業許可が必要になるケースを知っておけば、安心してお店を営業できるでしょう。
そこでここから、飲食店の深夜営業許可についてや、深夜営業許可を取るために必要な手続きなどを具体的に解説します。
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飲食店の深夜営業許可とは
深夜営業許可とは、飲食店が深夜営業する場合、公安委員会に営業許可を届け出ることです。
届出のことを「深夜における酒類提供飲食店営業届出(深夜営業許可)」と言います。
飲食店の深夜営業とは、午前0時から午前6時までの間に営業することです。
深夜営業許可を提出する必要があるかどうかは、お店の業種によっても変わってくるのが特徴です。
深夜に飲食店を営業する場合でも、お客さんに対して酒類を提供しないのであれば、深夜営業許可は必要になりません。
具体的な事例は下記の通りです。
- ラーメン屋やお蕎麦屋など主食を提供する飲食店:深夜営業許可の提出不要
- バーや居酒屋、焼き鳥屋などアルコールメインの飲食店:深夜営業の届け出必要
ラーメン屋など主食を提供する飲食店の場合、0時以降にお酒を提供しても、深夜営業の届け出が不要なケースもあります。
アルコールメインの飲食店の場合、提供するお酒の量や種類は問われていません。
お酒を提供するかどうかがポイントになります。
「風俗営業などの規制および業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について」によると、下記のように定められています。
「酒類提供飲食店営業」とは、「飲食店営業のうち、バー、酒場その他客に酒類を提供して営む営業(営業の業態として、通常主食と認められる食事を提供して営むものを除く。)」をいう。(1)「酒類を提供して営む」とは、酒類(アルコール分1度以上の飲料をいう。)を客に提供して営むことをいい、提供する酒類の量の多寡を問わない。
出典:福岡県警察
提供するメニューや業態によって、深夜営業の届け出が必要か決まりますので、所轄の公安委員会の判断に従いましょう。
違反したまま営業すると、50万円以下の罰金が課される場合があります。
▼資格についてはこちらの記事で解説しています
飲食店の開業に必要な資格は2つ!取得しておくと役立つプラスαの資格も解説禁止行為
深夜営業許可で禁止されているのは、お客さんに対して接待行為をしたり遊興行為をしたりすることです。
接待行為とは、具体的に下記の通りです。
- 特定のお客さんに対してお酌をする
- カラオケでお客さんと一緒に歌う
- お客さんと一緒にダーツなどのゲームをする
- スタッフの指名や同伴制度などがある
- 特定のお客さんと接触しながらダンスする(お客さんの近くで継続して踊る)
上記のような接待行為を行うには、「風俗営業許可」が必要になります。
遊興行為とは、お店側が積極的にお客さんを遊び興じさせる行為のことです。
具体的には、下記のお店が該当します。
- クラブ
- ダーツバー
- スポーツバー
- ライブハウス
- 生バンド演奏やショー
上記のお店は、場合によっては風営法で規定されている「特定遊興飲食店営業許可」が必要です。
無許可で営業する場合、2年以下の懲役か200万円以下の罰金が課されるケースがあります。
また、従業員の雇用や労働に関しても禁止されている項目があります。
- 18未未満の者を22時から日の出までの間に接客させる
- 18歳未満の者を22時から日の出までの間に客として立ち入らせる
- 20歳未満のものにお酒やタバコを提供する
- 深夜において客引きする
飲食店の深夜営業許可を得るために必要なこと
深夜営業許可を取るためには、様々な条件をクリアすることが求められています。
ここから、深夜営業許可を取るために必要なことを具体的に解説します。
住居地域で営業しない
深夜営業許可を取るためには、住居系の地域で営業しない点がポイントです。
例えば東京都の場合、環境確保条例によって午後11時から午前6時までの間、営業による騒音を発生させてはならないと規定されています。
営業が許可されているのは、具体的に下記の通りです。
- 仕出しを目的とするお店
- ホテルや旅館
- 事務所などの施設内でスタッフが利用するためのお店
上記以外のお店は、下記の地域と周囲20km以内での深夜営業ができません。
- (第1種、第2種、準、田園)住居地域
- (第1種、第2種)低層住居専用地域
- (第1種、第2種)中高層住居専用地域
居抜き物件など、以前に深夜営業されていたお店でも違法営業していた可能性があります。そのため、ご自分で用途地域を確認するのが基本です。
設備条件を満たす
深夜営業許可を取るには、営業するお店の設備条件を満たす必要があります。
具体的には下記の表のとおりです。
お店の設備 | 必要な条件 |
床 | 耐久性のある材質で、排水がよく清掃しやすいこと |
内壁 | 床から1メートルは耐水性があり、清掃しやすいこと |
明るさ | 客席は20ルクス以上の明るさがあること |
防虫・ネズミ対策 | 虫やネズミの侵入を防ぐ設備があること |
調理場のシンク | ・食器洗剤用のシンクが2槽式であること ・調理専用のシンクと手洗器があること ※地域によっては、幅や奥行きの長さが決まっているケースがある |
冷蔵設備 | 冷蔵庫には温度計が備わっていること |
給湯設備 | 洗浄と消毒を目的とする給湯設備を備えること。 |
客席の手洗器 | 客席用の手洗器を設置すること。ただし、客用トイレに備わっているものを共用していいケースがある |
上記の表の通り、各設備ごとに満たさないといけない条件が決められています。
ただし、地域によって条件が変わるケースがあるので注意が必要です。
書類を用意する
深夜営業許可を申請する場合、提出を求められる書類があります。
具体的な書類は下記の通りです。
- 営業開始届出書
- 営業方法についての書類
- メニュー表の写し
- 営業所の平面図(求積図、照明・音響設備)
- 本籍が記載された住民票のコピー(外国人の場合、在留カード)
上記のうち、営業開始届出書と営業方法についての書類については警視庁のWEBサイトからダウンロードできます。
出典:警視庁
法人の場合、以下の書類の提出も必要です。
- 法人登記簿謄本(法人登記事項証明書)
- 法人の定款のコピー
- 役員全員分の住民票
さらに、所轄の警察によっては、下記の書類の提出を求められる可能性があります。
- お店から半径200mの地域の地図
- 建物入店状況図
- 賃貸借契約書のコピー
- 大家さんからの使用承諾書
書類を提出する
書類を用意できたら、営業開始の10日前までに警察署に届け出ます。
警察署に届け出てから、10日後以降に営業開始できます。
すぐに営業開始とはならないので、時間の余裕を持って提出するようにしましょう。
届け出て以降、警察から営業開始できる旨の連絡はないので注意が必要です。
なお、深夜営業許可は更新する必要がありません。
深夜営業に関するルールはあまり認知されていないので、事前に調べておきましょう!
ここまで飲食店の深夜営業許可について具体的に解説してきました。
本記事のまとめは下記のとおりです。
- 飲食店が深夜営業する場合は、公安委員会に届け出る
- 飲食店の深夜営業許可が必要かは、所轄の警察署に相談するのが賢明である
- 深夜営業で禁止されているのは、お客さんに対して接待行為などをすること
- 深夜営業許可を取るためには、設備条件を満たしたり住居地域ではないこと
- 深夜営業を開始できるのは書類提出から10日後以降であり、警察から営業許可の連絡はない
本記事を参考に、飲食店の深夜営業許可について理解していただければ幸いです。