「飲食店にディシャップは必要?」
「ディシャップの仕事内容にはどのようなものがある?」
「飲食店の開業をする前にディシャップの経験を積んでおくとよい?」
本記事では上記の疑問にお応えします。
飲食店で重要なポジションのディシャップですが、飲食店の開業を考えている方の中には、具体的な仕事内容や必要性がわからない方もいるでしょう。
そこでここから、ディシャップの特徴や仕事内容などを具体的に解説します。
最後まで読めば、開業する前にディシャップとして働いておくとよいことがわかるでしょう。
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ディシャップとは
飲食店のディシャップとは、英語の「dish up」のことで、料理の盛り付けの完了を意味する言葉です。
ホール担当のスタッフに対して、できあがった料理を受け渡す場所で、ここを担当として仕事をする人のことを指すのが一般的です。
ここから、ディシャップの特徴について具体的に解説します。
司令塔としての責任がある
ディシャップとは、お店の中で司令塔としての責任を担っているのが特徴です。
優秀なディシャップがいるお店の場合、料理の提供やサービスなどがスムーズに流れやすくなります。
ディシャップがいることで、具体的に以下の効果が期待できます。
- お客さんから頼まれた順番通りにメニューを提供できる
- 同じテーブルのお客さんが違うメニューを注文しても、同時に提供できる
- 仕上がりの違う商品をお客さんに提供しなくなる
異なるメニューを同時に提供するには、調理のスタート時間を的確に指示するなど、高いスキルや経験が求められます。
お客さんの満足度を上げやすくなり、リピーターを獲得できたり客単価をあげやすくなったりするでしょう。
「料理はまだできないのでしょうか?」「後に注文した人の料理が先に提供されたのですが…」などのクレームにも対応でき、一石二鳥だといえます。
司令塔としての役割を担うためには、お店の中で権威や実力のある人でないと務めにくい点も特徴です。
とくに個人店の場合は、オーナーや店長など、実績や経験のある人が務める傾向にあります。

料理を最終確認する責任がある
ディシャップには、できあがった料理を提供する前に、最終チェックをする責任があります。
提供前の料理でチェックする必要のある点は、具体的に下記の通りです。
- 盛り付けの仕方はマニュアル通りか
- 異物混入はないか
- 焼き加減は適正か
- 適正量が盛り付けられているか
- 皿のフチに汚れはないかなど
お店の基準通りに料理が作られているのかを最終的に判断するポジションであり、大きな責任を担っているといえます。
東京都福祉保健局の報告によると、平成28年に飲食店に対してのクレームは3,044件で、そのうち異物混入に関するものは925件に及ぶことがわかっています。
出典:東京都福祉保健局
もし異物混入になった場合、お客さんに対して不快な思いをさせるだけでなく、以下のような対応が必要になります。
- 料理を作り直し、無償で提供する
- お店の責任がお詫びする
- ドリンク無料などのクーポンをお渡しする
時間や労力が消費されるだけでなく、SNSや口コミサイトなどを通して、悪い評判が広まるリスクもあります。
料理を最終チェックするときになんらかの異常を発見できれば、クレームを未然に防げるでしょう。
適正に作られた料理を安心して食べてもらうために、ディシャップの果たす責任は大きいといえます。
ディシャップの仕事内容4つ
ディシャップは飲食店の司令塔としての役割があり、仕事内容として下記のようなものがあげられます。
- 伝票を管理して優先順位を決める
- スタッフへ具体的に指示する
- お客さんに提供する料理のチェック
- 提供時間の管理
ここから、ディシャップの仕事内容について具体的に解説します。
①伝票を管理して優先順位を決める
ディシャップの仕事内容の1つは、伝票の管理です。
ホールの状況だけでなく、調理の進行状況、作られている料理などを全体的に把握したうえで、次に何をすべきかの判断が求められます。
前述の通り、1つのテーブルのお客さんが同時に料理を食べられるように、料理のスタート時間を調節するなど、適切に判断できるかがポイントです。
キッチンの生産性をあげるために、違うテーブルから同じ料理が注文された場合、まとめてオーダーするなどの臨機応変な対応をするケースもあります。
②スタッフへ具体的に指示する
ディシャップの仕事とは、スタッフへ具体的に指示を出すことです。
スタッフの中には要領の良い人や悪い人、ベテランや初めたばかりの人などがおり、持っているスキルや経験などはさまざまでしょう。
当日お店に配置されているスタッフの人数やスキルを把握し、ディシャップには各スタッフが能力を最大限に発揮できるように指示することが求められます。
指示を出さないとスタッフがうまく連携を取れない可能性が高く、ディシャップは喋り続けるようにと指導される飲食店もあります。
③お客さんに提供する料理のチェック
ディシャップの仕事とは、お客さんに提供する料理のチェックです。
お店によっては、盛り付けや量のチェックの他に、カトラリーをつけるケースもあります。
ちょっとした盛り付けのミスや焼き過ぎなどにすぐに気づくには、料理の完成形を正しく知っておく必要があります。
焼色1つとっても、どの程度であれば許容範囲なのかを判断する必要があり、判断力や観察力が求められる仕事です。
④提供時間の管理
ディシャップの仕事4つ目は、提供時間の管理です。
提供時間が早い(遅れない)ということは店にとって最も重要なことの1つです。
どんなに綺麗で美味しい商品でも注文後30分待たされたら、満足度は半減します。
そのため、遅れが生じないように各ポジションの作業量・進行状態を確認し、管理することがディシャップを配置する大きな理由なのです。
例えば、ランチタイムの場合、お客さんが席に着いて、オーダーから提供されるまでに15分待つことになると、約75%の人が不満を抱くという調査結果もあるので、サラリーマンのランチ狙いなら約10分で提供できるようにしていきましょう。
ディシャップに向いている人の特徴3つ
ディシャップ業務が向いている人には、下記の特徴があげられます。
- 先読みして行動できる人
- 臨機応変に対応できる人
- 信頼のある人
ここから、向いている人の特徴を具体的に解説します。
①先読みして行動できる人
ディシャップに向いているのは、どのように行動していけばよいのか先読みして行動できる人です。
キッチンとホールの状況を把握しつつ優先順位の高いものを決め、各スタッフに対して指示を出すスキルが求められるためです。
常に2歩、3歩先を読んでディシャップが指示を出すことで、優先度の高い仕事にスタッフが取り組め、効率的にお店を運営しやすくなるといえます。
常に優先順位を考えながら仕事できたり、周囲の状況に合わせながら仕事を進められたりする人は、ディシャップに向いています。
②臨機応変に対応できる人
ディシャップに向いているのは、お店の状況に応じて臨機応変に対応できる人です。
出勤するスタッフやお客さん、注文の入り方などは一般的に毎日異なるためです。
まったく同じ状況というのはなく、状況に応じて常に最善の方法を考える力が求められるといえます。
特に、臨機応変さが求められるのは、お店の中がお客さんで一杯になった状況です。
忙しいときこそ冷静に判断し、的確に対応できる人はディシャップに向いているといえるでしょう。
③信頼のある人
ディシャップに向いているのは、スタッフからの信頼を集めている人です。
キッチンやホールなど、お店にいるスタッフに対して具体的に指示を出す必要があるためです。
スタッフから信頼を集めていない人がディシャップをすると、スタッフのモチベーションが下がったり連携を取りにくくなったりする原因になるでしょう。
キッチンの担当者が作った料理に対して、作り直しを求めなくてはいけないケースもあり、お互いの信頼関係が重要になるといえます。
ディシャップに向いているのは、普段からスタッフとコミュニケーションをうまく取れており、信頼を集めている人です。
ディシャップに関するよくある質問
ディシャップに関するよくある質問をまとめました。
- ディシャップとして経験を積むにはどのような方法がありますか?
- ディシャップは店長業務よりも重要になりますか?
ここから、上記2つの質問にお答えします。
ディシャップとして経験を積むにはどのような方法がありますか?
ホールスタッフから働き始めて、ディシャップを任されるケースが一般的です。
ただし、キッチンスタッフからディシャップになれる飲食店もあります。
飲食店でさまざまな経験を積み、ディシャップを雇っているお店に転職するのも1つの方法です。
ディシャップは店長業務よりも重要になりますか?
人によって考え方は異なりますが、ディシャップの方が重要だと考えられる傾向にあります。
一般的に、ディシャップから声が出ているお店は繁盛店だといわれているためです。
ディシャップの働きによって、料理を提供するスピードやタイミングなどが左右され、お客さんの満足度に影響が出やすくなります。
飲食店を開業する前にはディシャップとしての経験を積んでおくとよいでしょう
ここまで、ディシャップの特徴や仕事内容などを具体的に解説してきました。
本記事のまとめは、下記の通りです。
- 飲食店で司令塔を務めたり、お客さんに提供する前の料理をチェックしたりするなどが役割
- 伝票の管理やホールスタッフへの指示などが仕事
- 先読みできる人や臨機応変に対応できる人などが向いている
本記事を参考に、ディシャップについて理解していただければ幸いです。