飲食店をする上で絶対に避けては通れないのが棚卸しです。
どうして棚卸しをやる必要があるのか疑問に思う方も多いと思います。
今回の記事では棚卸しの目的や具体的な手順、さらに在庫管理の方法まで紹介していきます。
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飲食店での棚卸しとは?
棚卸しは店舗内の在庫数を数える作業で、食材の在庫を持つであろう飲食店では定期的に行う必要があります。
仕入れた食材全てを月末までに使い切ることは不可能であるため、どの飲食店でも在庫は必ず発生します。
飲食店で仕入れた食材の中でお客様に提供しなかったものが在庫として扱われ、棚卸しの対象となるのです。
棚卸しによって在庫状況を正確に把握することで、不足や過剰在庫を防ぎ、適切な発注や仕入れを行うことができます。
したがって、棚卸しは定期的に行う必要があり、「月に一回、必ず実施するべき作業」として認識しておきましょう。
飲食店で棚卸しをする5つの目的
在庫数を数える棚卸しですが、以下のような目的があり店舗経営をする上でとても重要な作業です。
- 在庫・品質を適切に管理するため
- 食材ロス・在庫ロスを把握するため
- 店舗の仕入れ状況を確認するため
- 時期やイベントにより仕入れを調節するため
- 原価率を算出するため
この章では上記の5つの目的について詳しく解説していきます。
1.在庫・品質を適切に管理するため
棚卸しをする1つ目の目的は、在庫・品質を適切に管理するためです。
飲食店における在庫は食材であり、お客様に提供する料理の材料となります。
もし材料が足りないという状況に陥ってしまうと、お客様に料理を提供できず、売り上げを上げられなくなってしまいます。
在庫が足りず料理が提供できないという状態を防ぐために、棚卸しによる在庫数の管理が重要になってきます。
さらに、在庫の食材が
- 消費期限が過ぎている
- 色味や匂いが変化している
といった状態になっていないかをきちんと確認する必要があります。
もし状態の良くない食材を使った料理をお客様に提供し、食中毒などが発生してしまえば、最悪の場合お店が閉店に追い込まれてしまいます。
料理の品質を保証するためにも棚卸しの際に確実に食材の品質を確認しましょう。
2.食材ロス・在庫ロスを軽減するため
棚卸しをする2つ目の目的は、食材ロス・在庫ロスを軽減するためです。
定期的に棚卸しを行い在庫数を確認することで、どの食材が余りがちであったり、不足しがちであったりするかを把握することができます。
それに応じて仕入れ数を調整することで食材ロスや在庫ロスを軽減することができます。
在庫管理が曖昧だと仕入れを過剰に行ってしまい、食材を廃棄するしかないという状況に陥りやすくなってしまいます。
廃棄量が多いと仕入れ費がお店の経営を圧迫してしまうこともあります。
食材、特に消費期限の短いものは棚卸で在庫数をしっかりと確認し、廃棄を減らせるようにしましょう。
3.店舗の仕入れ状況を確認するため
棚卸しをする3つ目の目的は店舗の仕入れ状況を確認するためです。
仕入れデータも参照しながら棚卸しを行うことで、店舗の仕入れ状況をチェックすることができます。
また、在庫の減り方を見て仕入れ量が適切かどうかも確認できます。
さらに、在庫の減り具合を見ることでお店の人気メニューやそうでないメニューを把握することができ、店舗運用に生かすことも可能です。
4.時期やイベントにより仕入れを調節するため
棚卸しをする4つ目の目的は時期やイベントにより仕入れを調節するためです。
定期的に棚卸しをしていれば、時期やイベントの有無による在庫の減り方を確認することができます。
ここで得られたデータをもとに例えば、「ハロウィンの時期に商品aの材料が在庫切れになったから来年は多く仕入れよう」など次の年にどのくらい仕入れれば良いかを、データをもとに推測することができます。
これによって無駄な出費を抑えたり、売り上げをさらに伸ばすことも可能になります。
5.原価率を算出するため
棚卸しをする5つ目の目的は原価率を算出するためです。
棚卸しにより正確に在庫数を把握することで原価率を正確に算出できます。
原価率とは、売り上げに対する原価の割合を示しており、30%がその目安とされています。
原価率を算出した際に30%を超えてしまっているメニューがあれば、仕入れ量や価格を調整して適切な原価率にすることで、お店の経営状況を良くすることができます。
原価率を適切に把握するためにも棚卸しは定期的に行いましょう。
飲食店で棚卸しをする3つの正しい手順
前章で棚卸しの目的について理解していただけたと思います。
実際の棚卸しは次のような3ステップで実施されます。
- 棚卸表を作成する
- 在庫数を確認する
- 在庫数や金額をまとめる
この章では上記3項目について具体的に解説していきます。
1.棚卸表を作成する
棚卸しをする際にはまず棚卸表を作成しましょう。
棚卸表には最低でも品名、種類、在庫数、仕入れ価格を記載できるようにしておき、フォーマットをお店で固めておくと作業がより楽になります。
年末の確定申告の際に棚卸表を作成する必要があるので、各月棚卸表を作成し、慣れた状態で年末を迎えられるようにしましょう。
2.在庫数を確認する
棚卸表作成後は、在庫数を確認し、棚卸表に記載していきましょう。
その際に個数や重さなど単位に注意して記入する必要があります。
さらに、仕込みをおこなっている状態の食材に関しても棚卸しの対象となるので、仕込み中の食材も確実に数え、棚卸表に記入しましょう。
3.在庫数や金額をまとめる
棚卸表の記入が終わったら、在庫の数や金額をまとめていきます。
それをもとに適切な仕入れ量だったかを確認し、次の月からの仕入れの参考にすることで、お店の軌道修正をはかることができます。
在庫にある消費期限のすぎた食材や痛んだ食材はすぐに廃棄し、誤ってお客様に提供することがないようにしましょう。
在庫管理を効率的にする3つのポイント
飲食店経営をしている中で在庫管理に時間を取られてしまう方が多いと思います。
在庫管理は以下の3つのことを意識するだけで効率が劇的に良くなります。
- 月1回のペースで棚卸しをする
- 先入れ先出しルールを守る
- ABC分析で在庫管理の優先度を決める
この章では上記3項目について具体的に解説していきます。
1.月1回のペースで棚卸しをする
棚卸しをすることで、在庫に関するデータを得ることができ、それをお店の経営に生かすことができます。
棚卸しが定期的に行われていないと得られるデータの正確性が担保されません。
他にも原価率(売り上げに対する原価の割合)や粗利額(売り上げから製造原価を引いた額)等も計算できるように、月末や月初に特定の日を設けて棚卸しを毎月実施しましょう。
2.先入れ先出しルールを守る
先入れ先出しは、古い食材から先に使用することを指します。
先入れ先出しをルールにしておくことで、古い食材から消費する仕組みができるため、食材の鮮度を維持することができます。
また、先入れ先出しを効率良く実施するための工夫をしておくことで、スタッフはルールを守りやすくなります。
例えば、食材ごとに決まった位置に置いたり、使用頻度の多い食材を近くに配置したりすることが挙げられます。
また、ラベリングシールを貼ることも効果的です。
期限や鮮度などを一目で確認できるため、食材を適切に選択することができます。
3.ABC分析で在庫管理の優先度を決める
在庫管理におけるABC分析とはさまざまな指標の中から1つ重視する指標を選び、その指標に応じて在庫を分類することです。
例えば売上額を指標とした場合、全体の売上の上から7割を占める食材のグループをA、次の2割を構成するグループをB,次の1割を構成するグループをCと分類します。
このグループ分けに応じて、例えば
「Aグループの食材は絶対に在庫切れしないよう意識して発注、Bグループは毎月発注、Cグループはなくなったら発注」
というようにグループによって発注の優先度を変えることで、効率よく在庫管理が行えます。
飲食店の棚卸しは店舗の存続に関わる
この記事では、棚卸しの目的や方法、在庫管理の効率化方法などについて解説してきました。
棚卸しというのは、仕入れ量を変えたり、価格を変えたりするためのデータをとり、それを店舗の売上アップにつなげていくという重要な作業となっています。
定期的に棚卸しを実施し、店舗がよりよくなるよう努めていきましょう!
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