「損益分岐点はどうやって計算するの?」
「キッチンカーではどんな費用がかかる?」
「損益分岐点より稼ぐにはどうすればいい?」
このような疑問をお持ちではないでしょうか。
損益分岐点は「いくら売れば利益が出るか」がわかるので、キッチンカーの運営を継続していくためには重要な指標です。
そこで本記事では、キッチンカーの損益分岐点について以下の点を解説します。
- 損益分岐点とは
- 損益分岐点の計算方法
- キッチンカーの固定費・変動費の内容
- 売上を伸ばすコツ
- 経費・費用を抑える方法
この記事を読めば、損益分岐点より儲けるコツがわかります。キッチンカーの経営を安定して継続できるように、ぜひ参考にしてください。
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キッチンカー(移動販売車)の損益分岐点とは?サクッと30秒で解説
「損益分岐点」とは、かかった費用と売上が同額となり、プラスマイナス0になる点のことを言います。つまり、商売が黒字になるか赤字になるかの分岐点です。
実際の売上が損益分岐点より高くなると黒字で、そこから先は売れれば売れるほど利益が上がります。反対に、損益分岐点を下回ると赤字経営になるということです。
なお、損益分岐点となる金額(売上高)を「損益分岐点売上高」と呼びます。
キッチンカー(移動販売車)の損益分岐点の計算方法
この章では、損益分岐点の実際の計算方法を紹介します。以下の3点を押さえておきましょう。
- 損益分岐点の計算式
- 計算に用いる費用
- 実際の計算例
1つずつ説明していきます。
1. 損益分岐点の計算式
キッチンカーの損益分岐点は以下どちらかの計算式で求められます。
- 損益分岐点 = 固定費 ÷ (1 – (変動費 ÷ 売上高))
- 損益分岐点 = 固定費 ÷ (1 – 変動費率)
引用元:名城大学 大西ゼミナール
上の図のように、かかる費用を売上が上回ると利益が出ます。
損益分岐点より儲けるには、売上を上げるか、費用(固定費・変動費)を下げるかのどちらか、または両方の対策が必要です。
2. 損益分岐点の計算に用いる費用(固定費・変動費)とは
計算式にある固定費とは、売上が上がっていないときも変わらずに発生する費用です。たとえば、月額で契約している駐車場の料金が固定費にあたります。
一方の変動費とは、売上に比例して増減する費用です。変動費の代表例は食材の仕入れ額が挙げられます。
変動比率は、売上高に対して変動費が占める割合です。
計算に用いる売上高は実際の売上高とし、その売上を上げたときの変動費を使って、損益分岐点を算出します。
3. 損益分岐点の計算例
実際に損益分岐点を計算してみましょう。
たとえば、売上高100万円のときにかかる費用を以下のように仮定します。
<例>
- 売上高:100万円
- 固定費:25万円
- 変動費:50万円
上記の設定のキッチンカーの損益分岐点は、次の計算で求められます。
- 損益分岐点=固定費25万円 ÷ (1 -(変動費50万円 ÷ 売上高100万円))
=25万円÷(1 – 0.5)
=50万円
損益分岐点売上高は50万円となりました。つまり、毎月50万円以上の売上があれば黒字になる計算です。
上記の設定の場合、売上高が50万円でも100万円でも、固定費は25万円かかります。一方の変動費は売上の半分なので、売上高50万円なら変動費は25万円です。
- 固定費25万円+変動費25万円=合計費用50万円
費用の合計が50万円となり、売上50万円のときにプラスマイナス0となることがわかります。
キッチンカー(移動販売車)における固定費・変動費の項目
損益分岐点の計算に必要な固定費と変動費について、キッチンカーではどのような費用がどちらに含まれるのか、それぞれ説明していきます。
固定費
キッチンカーの固定費には、以下の費用が含まれます。
- 人件費(オーナー・正社員)
- 駐車場料金
- 保険料
- 車両費(リース・ローン返済)
- 通信費
- 広告宣伝費
固定費となる人件費は、主にキッチンカーオーナーの給料です。ご夫婦で働く場合のパートナーの固定給や、正社員を雇う場合の給料も固定費の扱いとなります。
営業時間外に停めておく駐車料金や車両保険の金額も固定費です。また、移動販売車を一括払いではなくローンで購入していたり、リースで借りていたりする場合も毎月費用が発生します。
そのほか、細かいところではWi-Fiの月額料金も通信費としてかかります。キャッシュレス決済の通信の際にネット回線が必要です。
広告宣伝費も売上に比例するものではないので、固定費として予算に入れておきましょう。
変動費
変動費は、売上に比例して増減する費用です。以下の項目が挙げられます。
- 人件費(アルバイト)
- 材料費
- 水道光熱費
- 出店費用
- 移動費・ガソリン代
- 消耗品費
イベントの時のみアルバイトを雇う場合、バイト代は変動費の扱いとなります。
材料費は食材・調味料・ドリンクなどの原価です。売上の30%前後を占めることが多いため、変動費を見直す際のポイントとなるでしょう。
出店費用はイベント以外でもかかり、公共施設や大学場所で出店する際にも必要です。場所によって金額が変動し、キッチンカー営業においては負担の大きなものとなります。
また、消耗品費には使い捨ての食器・包装資材などの購入費用が入ります。
キッチンカー(移動販売車)で損益分岐点より売上を上げる3つのコツ
損益分岐点よりも利益を上げるには「売上を上げる」か「費用を下げる」かのどちらかが必要です。ここでは、売上を上げる3つのコツを紹介します。
- 客単価を上げる
- 回転数を上げる
- 季節に合わせたメニュー展開をする
1つずつ見ていきましょう。
1. 客単価を上げる
キッチンカーの売上は「客単価×客数」で決まります。そのため、客単価を上げると直接的な売上げアップにつながります。
客単価を上げる方法は、主に以下2つです。
- 商品の販売価格を上げる
- セット販売で客単価を上げる
販売価格は一度決めると「購入量が減るのでは…」と、金額を上げづらいと感じるかもしれません。
しかし商材によっては100円単位で上げても、値上げ前と変わらない個数が売れるケースもあります。
少しずつ値段を上げながらお客様の反応を見て、ちょうどよい価格を探ってみてください。
また、ドリンクとのセット販売も客単価を上げるためには有効な方法です。
2. 回転数を上げる
売上の「客単価×客数」のうち、客数を上げるには回転率を上げることが重要です。
オペレーションが簡単なメニューに絞ると、提供スピードが早くなります。事前に仕込みをしておくことで、車内では盛り付けのみで済む商材などを選ぶと良いでしょう。
例として、車内での工数が少ない料理には以下のものがあります。
- カレーライス
- シチュー
- パン(個包装済みの場合)
- 焼き菓子
- ドリンク
カレーやシチューは温めて盛り付けるだけのため、比較的早く提供できます。また、個包装済みの商品もすぐに渡せるのでおすすめです。
反対に、車内での工数が多い商材としては、以下のものが挙げられます。
- ハンバーガー
- ホットドッグ
- たこ焼き
- クレープ
- メロンパン(車内で焼く場合)
その場で焼いたり、具材を挟んだりするメニューは、時間がかかりがちです。商品の魅力とともに、提供スピードも考慮して決めましょう。
メニューの決め方については「移動販売(キッチンカー)で売れるメニュー15選!儲かる商品や差別化のコツも徹底解説」で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
3. 季節に合わせたメニュー展開をする
メニューによっては季節ごとに需要が変動し、売上が落ち込むことがあります。そのマイナス分を補填するようなメニューを用意しておくと、一年を通して売上が上がりやすくなります。
季節に合わせたメニューとしては、以下のようなものがおすすめです。
<夏向きのメニュー>
- 焼き肉
- 塩パン
- アイスクリーム
- ビール
<冬向きのメニュー>
- シチュー
- コロッケ
- ホットワイン
商材によっては、メニューを変えることで夏・冬の両方に対応できるものもあります。
たとえば牛タンであれば、夏は焼き肉、冬は牛タンシチューやコロッケなどのメニュー展開が可能です。
また、パンの販売なら夏はアイスやソフトクリームを添えて、デザート感覚にする方法もあります。
実際に販売されているメロンパンソフトは人気商品として定着しています。
キッチンカー(移動販売車)で損益分岐点より費用を抑える3つの方法
キッチンカーで利益を上げるためには、費用を抑えることも大切です。効果的な方法としては、以下の3つがあります。
- 食材の原価を見直す
- 人員を最小限にする
- 出店料の少ない場所を選ぶ
順番に説明していきます。
1. 食材の原価を見直す
費用を抑えるには、原価を意識して食材を見直してみることも必要です。
飲食店の原価率は一般的に30%以下が目安と言われていますが、20~25%での営業も不可能ではありません。
販売価格に対して高級すぎる材料を使っていないか、確認してみましょう。また、似たような食材でも仕入れルートの開拓を行うと、より原価を下げられるケースもあります。
2. 人員を最小限にする
人件費はキッチンカー営業において、経費削減の要となる費用です。仮に正社員を雇うとすると、月20万円を固定で負担するケースもあるでしょう。
月商100万円前後のキッチンカーでは、10万円単位の人件費は大きな負担となります。
そのため、開業初期はできるだけオーナー1人で営業するのがおすすめです。ご夫婦で一緒に働けるなら、2人で運営するのは悪くありません。2人いれば回転率が上がるからです。
アルバイトは極力入れず、イベントなどの繁忙期のみ雇うようにすると、利益が残りやすくなります。
3. 出店料の少ない場所を選ぶ
キッチンカーにおいては出店料の負担も大きく、利益を圧迫する要因の1つとなります。たとえば、イベントでは数万円~数十万円かかることも珍しくありません。
ですので、イベント以外の平日営業ではできるだけ出店料を抑えるようにしましょう。
公共施設や大学などでも1日3,000~5,000円程度が多いですが、さらに費用を下げるには以下のような対策が考えられます。
- 都心部や駐車料金の高い場所を避ける
- 知人が経営する店舗の駐車場を使わせてもらう
- 土地のオーナーに直接交渉する
出店料を抑えられれば、毎日営業することによる負担をかなり軽減できます。
出店場所の探し方については「【重要】移動販売(キッチンカー)の出店場所7選!見つけ方を6つに分けて詳しく解説」で紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。