「飲食店で未成年飲酒させると、売った側としてやばい?」
「飲食店で未成年飲酒が禁止されている理由を知りたい」
「飲食店で未成年飲酒を防ぐための方法は何?」
本記事では上記の疑問や要望などにお応えします。
飲食店を開業するときに、未成年者にお酒を売った側のリスクについて不安に思う方もいるでしょう。
未成年者に飲酒させると法律違反となり、売った側の責任を問われますが、対策方法はあります。
そこで今回は、未成年飲酒に関する法律や禁止されている理由、対策方法などを解説します。
最後まで読めば、飲食店が未成年飲酒に対策するための方法を理解できるでしょう。
本記事のリンクには広告を含んでいます。
未成年飲酒させるのはどれくらいリスクがある?
飲食店を開業してから、どのような理由であれ未成年のお客さんにお酒を提供すると、大きなリスクを背負うことになります。
青少年を保護する観点から、売った側の責任のみ問われるのが特徴です。
ここから、未成年のお客さんにお酒を提供するリスクについて具体的に解説します。
売った側が罰則の対象となる
未成年飲酒のリスクとして、お店側が法律違反を犯し、罰則の対象となる点があげられます。
後述するように「未成年者飲酒禁止法」という法律が制定されているためです。
お酒の悪影響から未成年者を保護するために同法律が制定されており、未成年者はお酒を飲んでも罪には問われません。
もし、未成年者が年齢を偽って飲酒したとしても、罪が問われるのはお店側になる点は十分理解しておきましょう。
未成年者がお店にくることは予測可能で、年齢確認をする義務がお店側にあると法律で定められているためです。
歓送迎会が行われる3月や4月は、特に注意が必要です。
未成年者に対する罰則はない
前述のとおり、未成年者が自ら飲酒したとしても、法律で罰せられることはありません。
未成年者がお酒を飲むと脳や体などに悪い影響があり、お酒から身を守るために法律が制定されているためです。
2022年の民法改正によって、成年になる年齢は20歳から18歳に引き下げられましたが、未成年飲酒禁止法の改正はされませんでした。
そのため、20歳以上のお客さんにしかお酒を提供できない点は変わっていません。
法律上の罰則はありませんが、未成年者が飲酒した場合、会社や学校から停学、懲戒などの処分を受ける可能性はあります。
飲食店を含めて未成年飲酒を禁止する法律2つ
飲食店が未成年者にお酒を提供すると罰則を受ける点について、下記の法律で定められています。
- 未成年者飲酒禁止法
- 風俗営業等の規制および業務の適正化等に関する法律
ここから、未成年飲酒に関する法律を具体的に解説します。
①未成年者飲酒禁止法
未成年者飲酒禁止法とは、未成年者が飲酒することと、飲食店や小売店などからのお酒の提供を禁止している法律です。
同法律により飲食店や小売店などには、未成年者の可能性がある方に対して、年齢確認の義務が課せられています。
出典:国税庁
お店の中に未成年者の飲酒禁止のポスターを貼ったり、スタッフを教育したりするなどの措置をとるように求められているのが特徴です。(第2条第4項)
もし未成年者にお酒を提供した場合、50万円以下の罰金を課せられる可能性があります。(第1条第3項)
接客を担当したスタッフ、雇い主であるオーナー双方に対して罰則が与えられる点も規定されています。(第4条)
なお、酒税法第14条第2号が適用され、酒類販売業免許が取り消されるケースもあります。
②風俗営業等の規制および業務の適正化等に関する法律
風俗営業等の規制および業務の適正化等に関する法律とは、特定の飲食店に適用される法律のことです。
特定の飲食店とは、具体的に下記のとおりです。
- お客さんを接待したり飲食させるお店(クラブ、キャバレー、ホストクラブ)
- 10ルクス以下の暗いお店(喫茶店、バー)
- 他から見通すことが困難で5平方メートル以下の客席を設けているお店(カップル喫茶)
同法律では、未成年者にお酒やタバコの提供を禁止すると規定されているのが特徴です。
違反した場合、1年以下の懲役か100万円以下の罰金、または両方が適用されると規定されています。
未成年飲酒が禁止されている理由3つ
民法改正により成年年齢が引き下げられてもなお、20歳以下の飲酒が禁止されているのには下記の理由があります。
- 身体面や精神面に悪い影響が出るため
- 問題行動を起こしやすくなるため
- 社会生活に悪い影響が出やすいため
ここから、20歳以下の飲酒が禁止されている理由について具体的に解説します。
①身体面や精神面に悪い影響が出るため
未成年者の飲酒が禁止されている理由として、身体面や精神面などに悪い影響の出やすい点があげられます。
飲酒が身体面や精神面に与える悪い影響は、具体的に下記のとおりです。
- 記憶力が低下する
- 判断力が鈍る
- 意欲が低下する
- 手の震え
- 発汗
- 不眠
- うつ病
- 肝硬変
- 肺がん
未成年者の方の脳は発達しきっておらず、飲酒によって神経細胞が破壊されることで、さまざまな影響も出ることがわかります。
記憶力が低下して学力が低下したり、急性アルコール中毒で命を落としたりするリスクなどの高い点が特徴です。
未成年者の方の場合はアルコールの分解が遅く、急性アルコール中毒になりやすいといわれています。
出典:アルコール健康医学協会
②問題行動を起こしやすくなるため
未成年者の飲酒が禁止されている理由として、暴力行為や性行為などの問題行動を起こしやすくなる点があげられます。
未成年者は感受性が強い傾向にあり、飲酒によって感情が高ぶった結果、我を忘れる可能性が高いためです。
たとえば、2019年に大阪市西成区のスナックでは、お酒に酔った19歳の少年が69歳の男性客に絡み、執拗に暴力を奮う事件が発生しています。
肺動脈の損傷による出血性ショックにより、男性客は死亡しました。
事件の経緯について法定では「笑われた気がしたから」「なぜ執拗に殴ったのかは覚えていない」と、少年が供述しています。
特に未成年者がお酒を飲むと、自分の行動を制御できなくなり、問題行動に発展しやすいことがわかります。
③社会生活に悪い影響が出やすいため
未成年者の飲酒が禁止されている理由として、社会生活に悪い影響を及ぼしやすい点があげられます。
飲酒による社会生活への悪影響とは、具体的に下記のとおりです。
- 飲酒運転で人命に関わる事故を起こすリスク
- 学校や職場への遅刻・無気力な態度から信頼を失うリスク
- 借金など金銭トラブルに巻き込まれるリスク
前述のとおり、飲酒により精神面や身体面にさまざまな悪い影響が出ます。
本来の能力を発揮できなくなったり、さまざまなトラブルに巻き込まれやすくなったりするリスクが高いと言えるでしょう。
未成年飲酒により書類送検された飲食店の事例
2005年、お店で未成年飲酒させたことにより、書類送検された居酒屋があります。
神奈川県相模原市で、15歳の少年7人がお店でお酒を飲んだ後、無免許で車を運転しオートバイと車に衝突する事故が発生しました。
1人死亡、3人が重軽傷を負う事故となり、スタッフ3人と経営会社は書類送検されています。
なぜ未成年者にお酒を提供していたのかを問われた経営者は「注文を受けないことによるトラブルを避けたかった」と話しています。
経営者の気持ちもわかるかも知れませんが、未成年に飲酒させることは法律違反です。
事件や事故などの発生する原因を作るケースもあり、未成年飲酒に対しては毅然と対応するのが望ましいです。
参考:カケコム / 未成年の飲酒で逮捕されるのか?【した側、させた側】何罪か、弁護士に相談するケースは?
未成年飲酒を防ぐために飲食店ができること2つ
お店での未成年飲酒を防ぐためには、下記のような基本的なことをどれだけ実践できるかがポイントです。
- 口頭でなく身分証による年齢確認
- 店内にポスターを掲示してアピールする
ここから、未成年飲酒を防ぐために飲食店ができることを具体的に解説します。
①口頭でなく身分証による年齢確認
未成年飲酒を防ぐために、身分証で年齢を確認しましょう。
お酒を飲みたいがために、お客さんは嘘の年齢を言うケースがあるためです。
未成年だと思われるお客さんがグループで来店した場合は、全員の身分証提示を求めるのがポイントになります。
身分証の具体例は下記のとおりです。
- 学生証
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- 保険証
- 在留カードなど
身分証を提示できない方がいる場合、お酒の提供を断るようにスタッフに伝えておきましょう。
注文を断るとお客さんを帰らせることになるかも知れませんが、他のお客さんに対して真っ当に経営している点をアピールできます。
②店内にポスターを掲示してアピールする
出典:ビール酒造組合
未成年飲酒を防ぐために、未成年飲酒を断るポスターや、年齢確認をする旨のポスターを掲示しましょう。
未成年飲酒に取り組んでいることを目で見てわかるようにすることで、スタッフやお客さんに対して明確に意思表示できます。
お客さんの目に付きやすい場所にポスターを貼ることで、未成年飲酒を抑制する効果も期待できるでしょう。
未成年飲酒を防ぐためのポスターは、国税庁やビール酒造組合のWebサイトからダウンロード可能です。
飲食店を開業するときは未成年飲酒の対策を考えておきましょう
ここまで、未成年飲酒に関する法律や禁止されている理由、対策方法などについて具体的に解説してきました。
本記事のまとめは、下記のとおりです。
- 未成年飲酒させると法律違反となり、罰則の対象
- 未成年者飲酒禁止法や風俗営業等の規制および業務の適正化等に関する法律で規定
- 身体面や精神面、社会生活への悪影響
- 飲酒運転・死亡事故につながり、書類送検された居酒屋がある
- 身分証による年齢確認やポスターの掲示などが予防策
本記事を参考に、飲食店での未成年飲酒の対処方法を理解していただければ幸いです。