飲食店経営において、立地は集客力に大きな影響を与える要素です。
しかし、必ずしも立地条件が良くない店舗が失敗するとは限りません。
たとえ駅から遠かったり、人通りが少ない場所であっても、工夫次第で多くのお客様を惹きつけることが可能です。
この記事では、立地の悪い飲食店でも集客力を高めるための具体的な方法と、好立地を選定する方法を解説します。
本記事のリンクには広告を含んでいます。
立地の悪い飲食店の特徴
そもそも立地が悪いとは、どのような状態を指すのでしょうか?
一般的にいわれる、立地の悪い飲食店の特徴は以下のとおりです。
- 最寄り駅から遠い
- 交通量や人通りが少ない
- 地下店舗・空中店舗(2階以上にある店舗)
- 視界に入らない場所にある
ここでは、立地の悪い飲食店の特徴を解説します。
最寄り駅から遠い
駅から遠い飲食店は、立地条件において大きなハンデを抱えがちです。
なかでも大都市圏では、徒歩や公共交通機関でのアクセスの利便性が重視されるため、駅から遠い店舗は「行きにくい」という印象を持たれやすくなります。
地方では自家用車での来店が一般的であるため、駐車場の有無が重要です。
このように、環境にもよるものの、駅から遠いことや駐車場の有無が来店のハードルを上げてしまう傾向にあります。
交通量や人通りが少ない
住宅街や路地裏、大通りから外れた場所では、そもそもお店の存在に気付いてもらえない可能性が高まります。
また、夜間になると人通りがさらに減り、治安面での安心感の低下によって女性や家族連れのお客様が敬遠してしまうケースも多いです。
さらに、交通量や人通りが少ない立地条件が重なると、飛び込みでの来店が期待しづらい環境となります。
飛び込みでの来店が期待できない状況となると、リピーターの存在が店舗の存続にかかわる場合もあるでしょう。
地下店舗・空中店舗(2階以上にある店舗)
地下店舗や2階以上にある空中店舗は、立地条件としてお客様に気づかれにくいデメリットがあります。
なぜなら、通りがかりのお客様に気づかれる機会がほとんどありません。
また、階段を下りるという行動そのものが心理的なハードルとなり、「入りにくい」と思われることが多いです。
空中店舗も同様で、看板があっても「階段を上がる」「エレベーターを利用する」といった手間が相対的に周辺の店舗よりも利用しづらいと感じさせる場合があります。
こうした物理的な障害も、立地の悪さを感じさせてしまう原因です。
視界に入らない場所にある
視界に入らない場所にある飲食店は、お店の存在自体を気づかれにくいため、集客の面で大きなハンデを抱えています。
「通行量が少ない」とは異なり、人通りがあってもお店の視認性が低いことで起こる特徴です。
たとえば、建物の裏側、奥まった場所、目立たない位置にある店舗は、通行人の視界に入らず、「知らないから入らない」という状況に陥りがちです。
これでは新規顧客を取り込むことが難しく、口コミやリピーターに依存しがちな運営スタイルを目指す必要があります。
立地の悪い飲食店で集客を成功させる方法
立地の悪い飲食店の特徴に当てはまる場合でも、以下のような工夫をすることで安定的な集客が期待できます。
- 「隠れ家」をコンセプトにする
- 外装や看板で目立たせる
- オリジナリティメニューを作る
- SNSで情報発信する
- グルメサイトで掲載する
- リピーターの獲得施策を実施する
- 通販やデリバリーも導入する
ここからは、立地の悪い飲食店で集客を成功させる方法を解説します。
「隠れ家」をコンセプトにする
立地の悪さを逆手に取り、隠れ家をコンセプトにすることは、立地の悪い飲食店の集客において有効です。
なぜなら、工夫次第で特別感を演出できる場所へと変えることができます。
喧騒から離れた落ち着いた空間を提供することで、ここだけの特別な体験を求めるお客様を惹きつけることが可能です。
「隠れ家」をアピールするためには、その特別感をお客様にしっかり伝える必要があります。
例えば、特別感を伝える方法には以下が挙げられます。
- 期間限定・数量限定メニューを提供
- 個室やプライベート空間の設置
- 特別な演出が楽しめる料理の提供
- 特別な記念日プランの提案
- 希少なお酒やこだわりの食材を使用
また、SNSやホームページを活用し、「隠れ家」としての魅力を発信することで、お店の個性をより多くの人に知ってもらうことができます。
たとえば、「都会の喧騒を忘れられる大人の隠れ家」といったキャッチフレーズは、特定のターゲット層に響きやすいです。
外装や看板で目立たせる
立地の悪い飲食店が集客を成功させるためには、外装や看板でどんなお店なのかをわかりやすく伝えることが重要です。
特に、どのような料理を提供しているのか、メニューの価格帯、店舗の雰囲気といった情報をシンプルかつ的確に伝えることで、興味を持ってもらう必要があります。
外装などの外観においては、お客様の目に留まりやすいカラーやデザインを採用することが大切です。
店舗の入口や近隣の通りに目立つ看板やのぼりを設置し、店舗の方向を案内する仕掛けを作ることも集客につながります。
看板には、具体的なメニューや価格、店内写真などを分かりやすく記載し、視覚的な魅力を伝えましょう。
オリジナリティメニューを作る
立地の悪い飲食店が集客で成功するには、「この店でしか食べられない」と思わせるオリジナルメニューを作ることが効果的です。
アクセスが不便であったり、目立たない場所にある店舗ほど、お客様が足を運ぶ理由を明確にする必要があります。
オリジナリティを出すためには、まずターゲット層を意識したメニュー作りが重要です。
たとえば、若い世代に向けては「SNS映え」を狙ったユニークな盛り付けやカラフルなデザートを用意するのも良いでしょう。
健康志向の高い層には、無農薬や無添加の素材にこだわったメニューが響きやすいです。
他にも、食べ応えを求める男性客には「ドカ盛り」や「挑戦メニュー」を設定し、話題性を作ることも有効となります。
これらのメニューが「お店のアイコン」としてお客様に認識されることで、自然とリピーターや口コミが増える好循環が期待できます。
SNSで情報発信する
SNSは無料でアカウントを開設でき、誰でも工夫次第で情報を広めることができます。
立地の不便さをカバーするために、SNSを活用してお店の魅力を効果的にアピールしましょう。
SNSで情報発信を行う際には、写真や動画を駆使して視覚的にお店の魅力を伝えることが重要です。
オリジナリティのあるメニューや「映える」盛り付けを投稿することで、多くのユーザーの目に留まりやすくなります。
また、定期的に新メニューやイベント情報を発信し、フォロワーとのコミュニケーションを図ることでリピーターを増やすことができます。
さらに、SNSを通じた口コミの力も見逃せません。
オリジナルメニューやサービスを提供することで、訪問したお客様がSNSに投稿し、自然な形でお店を広めてくれる場合があります。
SNS上の口コミがきっかけとなり、新しいお客様を呼び込むことができるでしょう。
グルメサイトで掲載する
グルメサイトを活用することで、お店の情報が広く発信され、来店のきっかけを作ることが可能です。
立地が悪い店舗でも、良質なサービスや料理を提供していることをアピールすることで、顧客にとって魅力的な選択肢となるでしょう。
グルメサイトへの掲載を検討する際には、まずターゲット層や予算に応じて、最適なプラットフォームを選ぶことが大切です。
多くの利用者がいる大手グルメサイトは効果が期待できますが、掲載費用が高額になる場合もあります。
一方、地域特化型やジャンルに特化したサイトでは、費用を抑えつつ、よりターゲットに絞った集客が可能です。
たとえば、地元密着型のサイトや、健康志向や高級料理など特定のニーズに応えたサイトを活用すると、効率的に集客が期待できます。
リピーターの獲得施策を実施する
リピーターを獲得するための基本的な施策として、ポイント制度や会員カードの導入があります。
ポイントを貯めると割引や特典を受けられる仕組みは、お客様の来店意欲を高める効果があるためです。
他にも、来店時に次回使えるクーポンを渡すことで、再来店のきっかけを作ることができます。
来店回数に応じたプレゼントや、誕生日や記念日を祝う特別サービスを実施することで、特別感を演出し、長期的な関係を築くことが可能です。
リピーター獲得には、顧客とのコミュニケーションも重要です。
スタッフの接客を通じてお客様の名前や好みを覚えることで、親しみやすさや信頼感を高めることができます。
通販やデリバリーも導入する
立地の悪い飲食店が集客を成功させるためには、店舗での提供だけにこだわらず、通販やデリバリーを導入することが効果的です。
通販やデリバリーは、立地に関係なくお客様に料理を届けることができるため、店舗に足を運びづらいと感じている顧客層にもアプローチできます。
また、自宅で食事を楽しみたいというニーズに応えることで、新たな収益源を確保することが可能です。
デリバリーでは、料理が届いた際の「状態」が印象を大きく左右します。
そのため、温め直してもおいしい料理を提供したり、専用の容器を使用して料理の見た目や温度を保つ工夫が必要です。
料理をよりおいしく楽しんでもらうための「食べ方ガイド」や、「温め直しのコツ」を記載したチラシを同封するのも効果的です。
これにより、自宅でも店の味を堪能できる満足感を提供できます。
好立地で出店させる選定方法

ここでは、好立地で出店させる選定方法を具体的に解説します。
商圏の範囲を設定する
商圏とは、店舗への来店が期待できる顧客が生活している範囲のことを指し、この範囲は来店客数や売上に大きな影響を与える重要な要素です。
一般的に、商圏は「一次商圏」と「二次商圏」に分類されます。
それぞれの範囲は都市部と郊外で異なり、都市部では一次商圏が半径500m程度とされており、郊外では自動車での移動が主流となるため、一次商圏は半径3km程度を基準に設定するのが一般的です。
商圏を正確に設定することにより、ターゲット層を明確化できます。
この分析を基に効率的な出店計画を立てることで、店舗の成功率を大きく高めることができます。
人通りがあるか確認する
まずは、出店を検討しているエリアで、時間帯ごとの人通りを観察しましょう。
平日と週末、昼と夜で人の流れがどのように変化するのかを把握することが大切です。
また、通行している人の年齢層や性別、職業などを分析することで、ターゲット層とマッチしているかを確認する必要があります。
たとえば、学生が多いエリアではリーズナブルな価格帯のメニューが求められ、オフィス街では手軽に食べられるランチメニューが求められることが多いです。
このように、エリア特性と店舗コンセプトの一致が重要になります。
最寄り駅から店まで歩いてみる
好立地での出店を目指すなら、候補地から最寄り駅までの経路を自ら歩いて確認することが重要です。
お客様がどのようなルートで店舗に訪れるのかを体感することで、来店のしやすさや不便さを正確に把握できます。
駅からの距離が遠いと感じるか近いと感じるか、急な坂道や狭い道があるかなどを実際に確認し、経路上での障害や利便性をチェックすることが必要です。
また、店舗の場所を説明する際の目印となる建物や看板、ランドマークが経路にあるかも確認しましょう。目印が明確であれば、お客様に道案内がしやすくなり、迷う心配を軽減できます。
近隣の店舗から情報収集する
近隣の飲食店や異業種の店舗に話を聞くことで、地域の人通りや顧客層、特定の時間帯の動向など、さまざまな視点からの情報を得ることが可能です。
競合店舗だけでなく、コンビニエンスストアや美容室、スーパーといった異業種の店舗にも情報を求めると、地域全体の特徴を把握する手助けになります。
例えば、「ランチタイムにサラリーマンが多い」「休日は家族連れが増える」といった、ターゲット層に応じた具体的な状況を知ることができるでしょう。
また、近隣店舗と顔見知りになることで、立地調査以外の有益な情報を得られる可能性もあります。
新たな競合店の出店計画や地域でのイベント情報、さらに地元での評判やニーズなど、地域に密着した情報が得られるかもしれません。
こうした情報は、単なる立地選定にとどまらず、開店後の集客戦略や地域への溶け込み方を考える上でも役立ちます。
飲食店の需要を確認する
人通りが多く、家賃条件も魅力的に見える立地であっても、実際にその地域で飲食店が必要とされていなければ、売上が思うように伸びない可能性があります。
ビジネス街のランチタイムを狙って出店しても、社員食堂が充実していたり、多くの会社が弁当持参を奨励している場合、期待した収益が得られないケースも考えられます。
このような需要のギャップを事前に把握することが大切です。
出店計画を立てる際には、表面的な条件だけで判断せず、地域ごとの飲食店需要を総合的に把握しましょう。
需要に基づいた戦略を立てることで、リスクを最小限に抑え、集客力の高い店舗づくりが可能になります。
出店したい場所が空いてない場合は待つ
出店したい場所が空いていない場合には、待つことも視野に入れましょう。
不動産を100件見に行っても良い物件がない時もあります。
慎重に立地選定をして出店しよう

今回は、立地の悪い飲食店でも集客力を高めるための具体的な方法と、好立地を選定する方法を解説しました。
飲食店の立地選定には、奥深い分析が必要です。
動画コンテンツでは注意点なども踏まえた、ミスしない出店を解説しています。
より詳しい飲食店の立地選定を知りたい方は、ぜひ動画コンテンツをご覧ください。