「移動販売にはどんな資格が必要?」
「資格取得の方法が知りたい」
「手続きをスムーズに進めたい」
といった疑問を抱えていませんか?
資格の取得や手続きに、難しそうなイメージを抱えている方は多くいらっしゃいます。
ところが資格取得の方法はそこまで難しくないため、きっちりと事前に情報を把握しておけば、スムーズに手続きを進めることが可能です。
そこでこの記事では、移動販売(キッチンカー)に必要な資格・取得方法を詳しく解説します!取得するうえでの注意点も紹介するので、これから移動販売の開業を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
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【前提】移動販売に必要な3つの資格・許可
こちらでは、移動販売に必要な3つの資格・許可を解説していきます。
- 食品衛生責任者
- 保健所の営業許可・届出
- 運転免許
それぞれ確認していきましょう。
1.食品衛生責任者
食品衛生責任者は店舗や施設において、食中毒や食品衛生法違反を起こさないように衛生管理することを目的とした資格です。
移動販売に関わらず、食品の製造販売を行うには1店舗につき1名以上の食品衛生責任者が必要です。そのため移動販売の店舗を複数経営する場合、各店舗に1名選任しなければなりません。原則として、同じ人が複数店舗の食品衛生責任者にはなれないので、注意してください。
飲食店の資格と聞くと調理師免許をイメージする人も多いかもしれませんが、食品衛生責任者の資格さえあれば調理師免許がなくても開業できます。また、よく似ている名前で「食品衛生管理者」という資格があります。食品衛生管理者は主に工場で配置が義務付けられる資格なので、移動販売においては不要です。
2.保健所の営業許可・届出
キッチンカーで加熱や盛り付けなどを行う移動販売の場合、保健所から「飲食店営業」の許可を取得しなければなりません。
営業許可の条件は、保健所によって異なります。余計な費用と時間をかけないためにも、キッチンカーの購入や製造をする際は事前に保健所へ相談するのがおすすめです。
一方で包装済みの食品を移動販売するだけの場合は、保健所への届出のみで営業が可能です。
販売業の扱いなので、2021年6月の法改正によって許可は不要になりました。ただし届出のみであっても、食品衛生責任者の資格は必須です。
3.運転免許
キッチンカーには、さまざまな車両が使われています。軽自動車などを改造した場合は普通免許で走行が可能ですが、大型トレーラーや牽引タイプの車両では専用の運転免許が必要です。
また、運転免許の取得時期にも注意してください。道路交通法の改訂に伴い、取得時期によって普通免許で運転できる車両の条件が変更されています。
免許取得時期 | 普通免許で運転可能な車両総重量 |
2007年6月1日以前 | 8t未満 |
2007年6月2日~2017年3月11日 | 5t未満 |
2017年3月12日以降 | 3.5t未満 |
移動販売を開業する際は、自身の運転免許で運転可能な車両と取得時期を確認するとトラブルを避けられるでしょう。
移動販売の営業場所によって必要な2つの許可
移動販売では、営業場所によって以下2つの許可が必要です。
- 道路使用許可
- 公園内営業許可
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.道路使用許可
移動販売の路上での営業は、道路を管轄する警察署から道路使用許可を取得しなければなりません。また、キッチンカーを道路に停めて周辺でビラ配りをする場合も、道路使用の許可が求められます。道路使用許可が必要であるにもかかわらず使用許可を取得しなかった場合は、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられます。
ただし、個人だけの移動販売営業に道路使用許可が出るケースはほとんどありません。道路使用は、お祭りなど町内会ぐるみで道路を使用する場合などで許可されます。
2.公園内営業許可
公園内で移動販売の営業をする場合、都市公園法という法律の適用を受けます。そのため、公園を管轄する地方公共団体や国土交通省に営業許可の申請が必要です。
営業許可を取得するための主な条件は、以下の3点です。
- 占用が公衆の利用に著しく支障を及ぼさない
- 占用が必要やむをえないと認められる
- 政令で定める技術的基準に適合する
公園は移動販売で稼ぎやすい出店場所ですが、無断での出店は禁止されています。
食品衛生責任者の取得方法や更新期間などを解説
こちらでは、食品衛生責任者の資格について3点に分けて解説していきます。
- 取得方法
- 更新期間
- 受講費用
順番に見ていきましょう。
1.取得方法
食品衛生責任者の資格は、各都道府県の食品衛生協会が開催している「食品衛生責任者養成講習会」を受講することで取得できます。食品衛生責任者養成講習会は、衛生法規・公衆衛生学・食品衛生学の3つに分かれていますが、1日の受講で修了証書をもらえます。
ただし、食品衛生責任者養成講習会は事前予約が必要です。1~2ヶ月先まで予約が埋まっているケースもあるので、早めの予約をおすすめします。
また、下記の資格を取得している場合は申請のみで食品衛生責任者の資格が取得できます。
- 栄養士
- 調理師
- 製菓衛生士
- 船舶料理士
- 食鳥処理衛生管理者
- と畜場法に規定する衛生管理責任者
- と畜場法に規定する作業衛生責任者
- 食品衛生管理者、もしくは食品衛生監視員となることができる資格を有する者
2.更新期間
食品衛生責任者の資格を取得後、更新の必要はありません。食品衛生責任者養成講習会を受講すると修了証をもらえますが、有効期限がないためです。ただし、店舗の食品衛生責任者を変更したい場合は更新が必要になります。
なお、食品衛生責任者の資格は全国共通です。しかし取得した地域によっては、数年に一度の実務講習会の受講を義務付けているケースもあります。
3.受講費用
食品衛生責任者養成講習会の受講費用は、1万円前後が一般的です。ただし以下のように、受講費用は各地域の食品衛生協会によって異なります。
- 東京都:1万円
- 長野県:8,000円
- 宮崎県:6,000円
自分が受講する地域での受講料を確認するようにしてください。また、紛失時の再発行には2,000円の手数料がかかるケースが多いです。
保健所の営業許可を取得する4ステップ
こちらでは、保健所の営業許可を取得する4ステップを紹介します。
- 保健所に事前相談
- 申請書類の提出
- 設備の確認検査
- 営業許可証の交付
ひとつずつ内容をチェックしてみましょう。
1.保健所に事前相談
保健所から営業許可を取得する際、事前相談は重要です。相談のために保健所へ数回行くことになりますが、しっかりと相談することで開業準備がスムーズになります。相談をせずにキッチンカーの購入や制作を進めてしまうと、条件を満たしていなかった場合に余計な時間や費用が発生してしまいます。
保健所へ相談に行く際は、営業するエリアや販売するメニューを決めてからにすると効率がいいでしょう。具体的な開業計画が決まっていないと、保健所もアドバイスが難しいためです。
2.申請書類の提出
次に、申請書類を提出します。営業許可の取得には、以下のような書類が必要です。
- 営業許可申請書
- 営業設備の大要、配置図
- 仕込み場所の営業許可証の写し
- 営業の大要
- 食品衛生責任者の資格を有する証明するもの(食品衛生責任者手帳など)
- 許可申請手数料
- 車検証のコピー
- 仕込み場所の水質検査証明書
- 検便検査成績書
ただし、書類の種類や提出のタイミングは保健所によって異なります。自身が申請する保健所の指示に従って、手続きを進めてください。また、営業許可の申請には1万円程度の費用がかかります。
3.設備の確認検査
完成したキッチンカーの設備や内装を、不備がないか検査してもらいます。以下はチェック項目の例です。
- 運転席とキッチンスペースは仕切られているか
- 給水・排水タンクの容量
- シンクの数と大きさ
- 石鹸や消毒用アルコールの設置
- 換気扇や冷蔵庫の設備
- 収納スペースは十分に確保されているか
- 蓋付きのゴミ箱が設置されているか
不備がある場合は、改善して再度の確認検査が必要です。再検査にならないためにも、事前相談で条件をしっかりと把握しておきましょう。
4.営業許可証の交付
設備の確認検査に問題がなければ「営業許可書交付予定日のお知らせ」が交付されます。営業許可書交付予定日までは約2週間が目安です。
予定日になったら認印を持参して保健所に行き、営業許可証を交付してもらいます。営業許可証が交付されると、いよいよ移動販売の営業開始です。
保健所の営業許可における注意点5つ
こちらでは、保健所の営業許可における注意点4つを解説します。
- 出店する地域ごとに申請する
- 仕込み場所が必要
- 条件が保健所によって異なる
- 有効期限は5年間
順番に内容を確認していきましょう。
1.出店する地域ごとに申請する
食品衛生責任者の資格は全国共通ですが、保健所の営業許可は出店する地域ごとの申請が必要です。
移動販売の開業を検討する際、日本全国を旅しながら営業したいと考える人は少なくありません。しかし全国の保健所に出向いて申請の手続きをする手間や費用を考えると、現実的には難しいでしょう。
事前にしっかりとリサーチを行い、自分が移動販売をする地域を決めるようにしてください。
2.仕込み場所が必要
キッチンカーの営業において車内での調理は、基本的に簡単な加熱や盛り付けのみが許可されています。そのため、肉を切る・小麦粉と水を混ぜ合わせるといった下準備は「仕込み場所」で行わければなりません。
基準は保健所によって異なりますが、自宅を仕込み場所にするのは原則NGです。食品衛生上のリスクを回避するために、仕込み場所には衛生管理の徹底した施設が求められます。
仕込み場所を確保する方法は、主に以下の3つです。
- 物件を借りる
- 飲食店のキッチンを借りる
- シェアキッチンを利用する
ただし200リットル程度の給排水設備が備えてあれば、キッチンカーでの仕込みが可能です。
3.条件が保健所によって異なる
営業許可の条件は、全国共通ではありません。そのため確実なマニュアルは存在しないので、出店する地域を管轄する保健所への相談が必要不可欠です。
もし複数の地域で移動販売をする場合、Aの地域では許可されたキッチンカーがBの地域では改良を求められるケースもあります。
キッチンカーの購入や製造、申請書類の準備に余計な費用や手間をかけないためにも、保健所で条件をしっかりと確認しましょう。
4.有効期限は5年間
有効期限のない食品衛生責任者の資格とは異なり、保健所の営業許可は有効期限が5年間です。保健所によっては8年間のケースもあります。
もちろん長期的な営業をする場合、営業許可の更新を行えば問題ありません。ただし更新を忘れて許可期限を超えてしまうと、営業許可は取り直しです。
再度許可が下りるまでの期間は営業できません。もし営業許可が消失している状態で営業をすると、食品衛生法違反の対象になるので注意が必要です。
更新が完了するまで1週間ほど時間がかかるので、手続きは許可期限が切れる1ヶ月前までに行うことをおすすめします。