「間借りで飲食店を開く際に、知っておきたい法律や手続きはある?」
「間借りで開業する場合でも、開業届って必要なの?」
「物件の探し方は?おすすめのマッチングサービスはある?」
間借り営業を考えている方は、このようなお悩みを抱えていませんか?
間借りは既存店舗のスペースを借りたり、定休日を利用したりして、飲食店を営業する方法です。
新しくお店を開くのとは勝手が違うため、どのような手続きや資格がいるのか分からない方も多いのではないでしょうか。
必要な手続きを知らないままでいると、営業できないなどのトラブルに発展する場合もあります。
そこでこの記事では、飲食店の間借りで知っておきたい法律や手続きを解説します。
開業する際の注意点も併せて解説するので、これから間借りをしようと考えている方は、ぜひ当記事を参考にしてみてください。
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間借り飲食店と関連性の高い法律に基づく資格や手続き6選
間借りで飲食店を開業する際には、以下6つの手続きを知っておきましょう。
- 食品衛生責任者
- 防火管理者
- 労災保険・雇用保険
- 菓子製造許可
- 酒類販売業免許
- 開業届
各項目について、定められている法律も併せて解説します。
1.食品衛生責任者
食品衛生責任者は、食品衛生法で取得を義務付けられている資格です。
食品衛生法とは、飲食における健康被害を防止するための法律で、厚生労働省が定めています。
飲食店を営業する際には必須で、間借りする場合でも必要とされています。
食品衛生責任者の資格を取得するには、営業する予定の地域で食品衛生協会による講習を受けましょう。
2.防火管理者
防火管理者は、消防法によって義務付けられているものです。
消防法とは、火災を予防したり、被害を最小限に抑えたりすることを目的とした法律です。
総務省が定めています。
飲食店は、調理過程で火災が起きるリスクが高め。そのため、正しい知識を身につけることが重要です。
防火管理者は、すべてのテナントにおいて選任が必要です。
間借り営業する際でも、条件によっては届出を出さなければなりません。
防火管理者を申請する条件は、建物によって決まっています。
具体的には、以下の通りです。
- 飲食店や物品販売店舗など不特定多数の人が出入りする用途(特定用途)がある建物で収容人員が30人以上
- 共同住宅、倉庫、事務所などの用途(非特定用途)の建物で収容人員が50人以上
防火管理者選任届は、間借り先の管轄の消防署か消防出張所に提出しましょう。
参考:東京消防庁「防火管理者の選任及び防火防災管理業務の実施について」
3.労災保険・雇用保険
労災保険・雇用保険は、従業員を雇用する際に必要となります。
労災保険とは?
雇用されている立場の人が仕事中や通勤途中にケガ・病気・障害、あるいは死亡した場合に保険給付を行う制度です。
労働者災害補償保険法で定められています。
労働者災害補償保険法とは、業務上・通勤中の災害によって負傷したり、死亡したりした場合に、労働者や遺族へ必要な保険給付を行うことを目的とした法律です。
労災保険は、従業員が正社員ではなくアルバイトであっても届け出が必要です。
参考:厚生労働省「労働保険について」
雇用保険とは?
雇用保険法において定められている決まりごとです。
労働者が失業した場合などに必要な給付を行い、再就職の援助を行うことなどを目的とした法律です。
雇用保険は、従業員を1人でも雇用している場合には、加入の手続きが求められます。
参考:厚生労働省「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!」
労働保険・雇用保険に加入するには、労働基準監督署かハローワークで手続きを行いましょう。
4.菓子製造許可
菓子製造許可は、食品衛生法で定められている資格です。
パンやケーキなどのスイーツを製造・販売する際に必要です。
資格を取得するには、各自治体の保健所へ申請の手続きを行いましょう。
5.酒類販売業免許
酒類販売業免許は、酒税法で定められています。
所得税法とは、納税義務者や課税所得の範囲、税額の計算の方法などを決めた法律です。
国税庁が制定しています。
酒類販売業免許を取得するには、間借りする所在地の税務署で手続きを行います。
なお、深夜12時以降も営業する場合は「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を提出しなければなりません。
提出先は警察署になるので、間違えないよう注意しましょう。
6.開業届
間借りの飲食店を開業する場合は、所得税法に従い個人事業主の開業届を提出しましょう。
所得税法とは、納税義務者や課税所得の範囲、税額の計算の方法などの決まりを定めた法律です。
国税庁が制定しています。
個人事業主になると確定申告を行う義務があり、開業届はその際に必要です。
手続きする際には、青色申告承認申請書を同時に提出することをおすすめします。
確定申告で青色申告ができるためです。
青色申告の主なメリットは以下の通り。
- 最大65万円の控除が受けられる
- 配偶者や家族従業員の給与を経費として落とせる
- 赤字で決算した場合最大3年間繰り越すことができる
- 30万円未満の資産を一括償却できる
簡単にまとめると、高い節税効果が得られるなど、事業を行う上で有利になる制度を使えるということです。
開業届は、間借り先の住所地を管轄する税務署へ提出しましょう。
窓口に持参するだけでなく、郵送やe-Taxを利用して電子申告する方法もあります。
間借りで飲食店を開業する際の注意ポイント3選
法律では義務付けられていないものの、間借りで飲食店を開業する際には注意すべきポイントがあります。
主に以下3点です。
- 食中毒が起きた場合は借主・貸主どちらも営業停止になる
- 新しく営業許可を取る必要はない
- 間借り先と取り決めを交わす
それぞれのポイントについて、順番に解説します。
1.食中毒が起きた場合は借主・貸主どちらも営業停止になる
食中毒が起きた場合は、片方の過失であったとしても、自店と間借り先どちらも営業停止処分を受けます。
もし自店が原因であれば、間借り先に迷惑をかけることにつながります。
食材を適切に保存する、手指を消毒するなどして、食中毒対策を行いましょう。
一方、貸主が原因の場合、自店に過失がなくても営業停止になります。
万が一に備え、飲食店用の保険に加入しておくと安心です。
2.新しく営業許可を取る必要はない
間借りする場合には、既存のお店を使用するため、新しく営業許可を取る必要はありません。
ただし、営業する飲食店の分野によっては申請が求められます。
例えば、パンやケーキなどを製造・販売するお店では菓子製造許可が必要です。
間借りする際には、営業許可を申請するケースがあることも覚えておきましょう。
3.間借り先と取り決めを交わす
間借りする際には、貸主とあらかじめ取り決めを交わしましょう。
開業した後のトラブルを避けるためです。
主に、以下の項目についてすり合わせを行います。
- 利用できるスペース
- 食材の管理
- 店舗内のものを破損してしまった場合の賠償
- ゴミの処理
お互いが気持ちよく利用できることで、間借り先のオーナーと良好な関係を継続できるでしょう。
後のトラブルを避けるためにも、取り決めを交わしておくことをおすすめします。
間借りで飲食店を開業する費用は約11~28万円
間借りで飲食店を開業する場合、費用の相場は約11~28万円です。
内訳は以下の通りです。
- 機材費:3~20万円
- 食品衛生責任者の受講料:約1万円
- 防火管理者選任届:約2万円
- 菓子製造許可:約2万円
- 酒類販売業免許:3万円
機材費は、販売するメニューによって異なります。
例えば、バナナスムージーを作る際のミキサーであれば3万円程度で購入可能。
なお、以下の手続きは自治体によって費用に幅があります。
- 食品衛生責任者の受講料
- 防火管理者選任届
- 菓子製造許可
受講を受けたり申請を出したりする前に、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
飲食店の間借り営業でおすすめのメニュー5選
間借りをする際、どのような商品を販売すればいいのか分からない方が多いのではないでしょうか。
こちらでは、おすすめのメニューを紹介します。
主に以下5点です。
- バナナスムージー
- 牛タン
- 唐揚げ
- カレー
- クレープ
それぞれのメニューについて、詳しく解説します。
1.バナナスムージー
バナナスムージーは、必要や材料や機材が少ないことが特徴。
そのため、開業しやすく、限られたスペースでも作業しやすいというメリットがあります。
バナナスムージーの開業には、主に以下の材料と機材が必要です。
- バナナ
- 牛乳
- 保存用の冷凍庫・冷蔵庫
- ミキサー
さらに、バナナスムージーは作り方が簡単です。
ミキサーに材料を入れ混ぜ合わせれば完成するので、
- 従業員を雇った際に教育しやすい
- 提供スピードを早くできる
といったメリットがあります。
2.牛タン
牛タンは、レシピのバリエーションが豊富な食材です。
例えば、
- 炭火焼き
- 煮込み
- 弁当
などの商品を販売できます。
様々なメニューを提供できるため、顧客から飽きられにくいことがメリット。
加えて、炭火焼きなどのシンプルなメニューであれば、仕入れる食材を少なくできます。
結果、仕入れにかかるコストや食材のロスを最小限に抑えられます。
3.唐揚げ
唐揚げは、用意する設備が少ないことがメリット。
そのため、低コストで開業できます。なお必要な機材は、主にフライヤーと冷蔵庫です。
さらに唐揚げは、店内提供ができる上にテイクアウトもしやすいメニューです。
様々な販売方法ができるため、売り上げを伸ばしやすいといえます。
4.カレー
カレーは、鍋でまとめて仕込みができるメニューです。
提供スピードを速くでき、顧客の回転率を上げる効果が期待できます。
さらに、スパイスやトッピングなどでオリジナリティを出せることも特徴。
他店との差別化を図りやすくなり、ブランディングが成功すればリピーターを増やせるでしょう。
5.クレープ
クレープは、中の具材を変えるだけでメニューのバリエーションを増やせます。
例えば、旬のフルーツを使うことで、季節限定の商品を提供できます。
さらにチーズやツナなどの具材が入った、おかず系クレープも人気です。
クレープの開業の必要なものは、主に以下の通りです。
- クレープの包装用紙
- 生地
- フルーツや生クリームなどの具材
- クレープの焼き台
準備するものが少ないため、比較的始めやすいメニューといえます。
【飲食店の利用可】間借り物件を探せるマッチングサービス5選
間借り物件を探せるマッチングサービスは、主に以下5つです。
- スペースマーケット
- ジモティー
- 飲食マッチ.com
- 軒先レストラン
- シェアレストラン
各サイトの特徴を解説します。
1.スペースマーケット
出典:スペースマーケット
スペースマーケットは、全国のレンタルスペースを探せるサイトです。
物件数が豊富で、東京都では約700件の間借り物件が掲載されています(2021年8月時点)。
スペースマーケットは、空いた時間にスペースを貸すことをコンセプトとしています。
そのため、数時間・数日単位の短期間の間借りを想定している物件がほとんどです。
2.ジモティー
出典:ジモティー
ジモティーは、中古品を譲ることをメインコンテンツとしているサービスです。
しかし、飲食店の間借り物件のマッチングサイトとしても利用できます。
借りられる期間や初期費用などは、物件によって異なります。
仲介がなく、貸主と直接のやり取りがほとんど。
そのため、契約する前に条件を確認しておきましょう。
3.飲食マッチ.com
出典:飲食マッチ.com
飲食マッチ.comは、東京都中心の物件を紹介しているサービスです。
2021年8月時点の登録物件はおよそ10点と少なめですが、無料登録することで、非公開物件を閲覧できます。
さらに飲食マッチ.comでは、開業支援やコンサル業務も行っています。
手厚いサポートで、初めて飲食店を開業する方でも安心です。
4.軒先レストラン
出典:軒先レストラン
軒先レストランは、スペースマーケットと同様に、全国の間借り物件を探せるサービスです。
掲載してある物件には、敷金・礼金・保証金が一切かかりません。
初期費用を抑えたい方にぴったりのマッチングサイトです。
5.シェアレストラン
出典:シェアレストラン
シェアレストランは、吉野家ホールディングスが運営するサイトです。
必要な出店費用は、スペース料金だけ。
敷金・礼金・保証金はかからないので、開業費用を抑えられます。
なお水道光熱費は、利用料の中に含まれています。