「初めて飲食店開業をしようと思ってるけど流れが分からない」
「流れはなんとなく分かるけど失敗が不安」
このような悩みを持つ方に、飲食店の開業までの流れを10ステップで詳しく解説していきます。
本記事のリンクには広告を含んでいます。
1.コンセプト設計は事業の明暗を分ける
コンセプトとは、お店の「テーマ」や「方向性」のことです。
人気飲食店はコンセプトを明確にしているところが多いです。
飲食店の経営を成功させるためにはコンセプト設計を戦略的に考えることが重要です。
開業後も多くの意思決定の機会がありますが、コンセプトが明確に決まっていなければテーマや方向性がブレてしまいます。
お店の売上を上げる目的以外に意思決定のスピードにも影響してきますので、しっかり押さえておきましょう。
ターゲット選定
飲食店の経営では、ターゲットとなる顧客層を明確にすることが大切です。
ターゲットとなる顧客層は、業態やコンセプトによって異なりますが、例えば以下のようなものが考えられます。
- 年齢層: 若年層、中年層、高齢者
- ジャンル: 高校生、大学生、会社員、経営者、ファミリー、カップル
- 地域: 居住地や勤務先
- 収入: 100〜300万、300万〜500万、500万〜700万など
- ライフスタイル: アクティブなライフスタイル、健康志向なライフスタイル
ターゲットを明確にすることで、ターゲットの来店動機となる店作りができます。
メニュー、内装・外装、看板などもターゲットが明確に定まっているからこそ、競合との違いを生み出せるのです。
どんなシーンで利用してもらうか決める
飲食店の経営では、顧客にどんなシーンで利用してもらうかを決めることは大切です。
飲食店に来られる顧客の行動パターンや需要などを調査することで、顧客にどんなシーンで利用してもらうかを決めることができます。
例えばこんな利用シーンが考えらえるでしょう。
・サラリーマンが1時間の昼休みに行きたくなるお店なのか?
・ママ会で使いやすいお店にするのか?
・おしゃれだけど子連れで入りやすいお店なのか
・結婚記念日や誕生日会などで利用したいお店なのか
・観光客が行きたくなるお店なのか?
利用シーンを明確にすることで集客戦略を立てるときや物件を決める時もスムーズに進みます。
2.事業計画書を作る
コンセプト設計が終わったら、事業計画を立てていきます。
飲食店の開業には事業計画書を作ることが必要です。
事業計画書は、飲食店の開業に必要なリソースや費用、マーケティング計画、売上予測などをまとめたものです。
事業計画書を作ることで、飲食店の開業に必要なリソースや費用が明確になります。
また、マーケティング計画や売上予測などを記載することで、事業の長期的な見通しが立てられます。
さらに、金融機関からの資金調達にも役立ちます。
ただし、事業計画書は定期的に見直しを行う必要があります。
市場環境や業界動向などが変化するため、適宜修正することが大切です。
融資を受けるか受けないかにかかわらず、事業を成功させるためにも、事業計画書を作って明確な根拠を持って開業しましょう。
3.開業する飲食店の物件探し
飲食店の出店に際して、最適な物件を見つけるためには、以下のような条件を明確にすることが重要です。
- コンセプト:店舗物件が設計したコンセプトに合っているか?
- 交通アクセス:ターゲットとなる顧客がアクセスしやすいか?
- 競合環境:周囲に競合店舗が少ないか?
- 間取り:空間配置や設備が適切か、顧客が快適に利用できるか?
- 費用:物件のレンタル費や改装費用が予算に合っているか?
また、物件の条件が良いほど意思決定スピードが求められます。
そのため、事前に条件を明確にしておく必要があります。
人気物件は競争率も高いので内覧から申し込みまでは迅速に済ませましょう。
4.開業資金を工面する
初期費用をどの手段で工面するか考えていきましょう。
調達手段は大きく分けて3つあります。
・貯金 ・融資 ・クラウドファンディング |
飲食店の開業資金の調達として一番メジャーな融資手段は日本政策金融公庫からの借入です。
日本政策金融公庫からの借入だと、「金利が低い」「無担保・無保証人で融資」「返済期間が長い」などの大きなメリットがあります。
▼開業資金を用意するためにはこちらの記事も参考になります
キッチンカーでの開業に使える6つの補助金・助成金を紹介!開業にかかる資金も4つに分けて解説5.開業する飲食店のメニュー開発
質の良いメニュー開発をすることで新規顧客の獲得だけでなくリピーターも獲得することができます。
こちらでは、メニュー開発をするときに重要な3つのポイントについて解説します。
ターゲットに合わせてメニューを決める
飲食店のメニュー開発には、まずターゲットをイメージする必要があります。
ターゲットとなる顧客が食べたいものを明確にすることが重要です。
また、新規メニューを開発する上では競合店と差別化することも必要です。
しっかりと競合店舗のメニュー調査をして違いが見えるように工夫しましょう。
メニューの構成と原価を考える
メニュー開発では、料理単品だけでなく、サイドメニューやサラダ、デザートなども組み合わせて単価を上げましょう。
しかし、作りたいものや人気の料理を組み合わせるだけでは、値段が高くなり、せっかくの新しいメニューも選んでもらえない場合もあります。
そのため、まずは原価を決め、その範囲内で作ることが大切です。
6.開業する飲食店の内外装工事
飲食店のインテリアデザインやキッチン設備の配置は、店のタイプやコンセプトによって大きく変わりますので、事業計画にも記載して明確にする必要があります。
客単価を高めたい場合は居心地の良い空間が必要で、回転率を上げたい場合はすぐに出発できる設計が必要です。
費用面に不安がある場合は、元の飲食店が閉店したままの残った「居抜き物件」を選ぶことで内装や設備工事の費用を節約することができます。
ただし、なぜ閉店したのか理解していないと経営上のリスクも伴いますので慎重に分析しましょう。
内外装工事以外にも店で必要な備品類を揃える必要があります。
例えば、調理器具、食器類、タオル、メニューなどがありますが、一括で購入すれば経費を抑えることができます。
7.飲食店開業のための営業許可手続き
飲食店の開業には営業許可の手続きが必要です。
手続きに必要な書類や証明書などを揃え、当該地域の自治体や保健所に申請する必要があります。
詳細は地域によって異なりますが、通常は衛生上の検査や安全確認、防火対策などを含む許可手続きが必要です。
想像以上に必要書類が多く、保健所や自治体とのやりとりも頻繁に必要になるケースも多いです。
そのため、資金に余裕があれば行政書士に依頼することも検討しましょう。
▼営業許可についてはこちらでも詳しく解説しています
飲食店に必要な営業許可!取得するまでの5つのポイントを解説します! 飲食店の深夜営業許可とは?取得に必要な設備や書類などを徹底解説!8.スタッフの採用と教育
飲食店を開業するためには、アルバイトスタッフなどの採用が必要です。
ここでは、採用時のポイントをいくつか紹介していきます。
未経験者を採用する
飲食店求人は競争率が非常に高いです。
そのため、求人サイトには「未経験者歓迎」と表記しておくことで採用までの期間は短縮されるでしょう。
「未経験者歓迎」と表記することで、飲食に興味はあるけれど実際に働くか迷っている人材を獲得できます。
それだけではなく、経験者としてもハードルの低さが伝わり応募しやすくなります。
採用基準を明確にする
新規オープンなので、マニュアルで網羅できていない予想外のトラブルなども発生することがあります。
スタッフが本来認識していた仕事とは違う業務を任せなければいけないことも出てくるでしょう。
そのため、「新規オープンから店を成長させていくことに喜びを感じる」など向上心の高いスタッフを採用することが大切です。
採用基準を明確にしなければ、お互いの認識の相違が生まれ、お店側もスタッフ側もコストの無駄になってしまいます。
9.プレオープンを行う
プレオープンは、正式なオープン前に実際にお客様に利用してもらいながら、オペレーションの流れやお客様の動向を確認するテストのようなものです。
一般開放する場合と招待客のみに限定する場合があり、招待客には日頃からお世話になっている方、近隣住人、知人などが含まれます。
プレオープンは必須のイベントではないですが、上手に実施することで開業後の経営に差が出る可能性があります。
一連のシミュレーションをする
飲食店などのプレオープンは、正式オープン前に実際のお客様と実践することで、オペレーションのトラブルや動向を確認することができます。
特に経験が少ないスタッフにとっては、プレオープンで業務の手順を確認してもらうことが重要です。
正式オープン当日に、接客やオペレーションに自信を持って開始できる状態を作り上げることができます。
プレオープンでは、予想しないトラブルも発生する可能性がありますが、これらを防ぎ、接客の質を維持することができます。
接客の質はリピート率に直結しますので、プレオープンは、飲食店の成功に向けて重要なステップとされています。
お店の宣伝に効果的
飲食店などで常連客を獲得するためには、まずは多くの人にお店を知ってもらい、一度でも足を運んでもらうことが重要です。
一般的には新聞広告やSNSなどを活用して宣伝することが挙げられますが、このような方法はある程度の資金が必要となります。
そこで、効果的な宣伝方法として、プレオープンがあげられます。
プレオープンの際は近隣の住民に声を掛け、リピーターになる可能性があることから、本格的なメディア関係者に広告を依頼せずに宣伝することができます。
プレオープンは、広告費を抑えつつ効果的な宣伝をすることができるのです。
▼SNSの有効活用法はこちら
飲食店がSNSで売上・集客につなげる8つのコツ!成功事例や注意点も紹介10.開業
グランドオープンは、飲食店が正式に開店する日です。
当日には、リピーターになりそうな顧客も来店し、会計では、正規の料金を受け取ります。
そのため、グランドオープン当日は、価格に見合ったサービスや料理を提供することが求められます。
また、グランドオープン記念として、料理のサービスや次回の割引チケットなどを提供することも考えておきましょう。
飲食店開業までの流れ通り丁寧に進めましょう
この記事では、飲食店を開業するまでの流れを10ステップで解説しました。
初めて飲食店を開業する方からすると、慣れない手続きや、専門性の高い知識も求められるため多くの時間を要するでしょう。
しかし、開業までの流れをあらかじめ把握してスケジューリングしておくことで焦らず着実に進めていくことができます。