「飲食店の接客用語の基本を知って、お店の接客のレベルを上げたい」
「飲食店の接客用語の間違いは、具体的にどんなものがある?」
「飲食店を経営していくために、接客用語を覚えるのは重要?」
本記事では、上記の要望や疑問などにお応えします。
飲食店を経営する方で、良い接客をしてリピーターを獲得したり、売上を伸ばしたりしたいと思う方は多いでしょう。
しかし、基本の接客用語や間違った言葉遣いなどを教育できないと、お客さんの満足に繋がりにくくなります。
そこでここから、飲食店の基本の接客用語や言葉遣いの間違いなどを解説します。
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飲食店で接客用語を覚える重要性
飲食店で正しい接客用語を覚えることで、お客さんにおもてなしの気持ちを伝える効果が期待できます。
お客さんに接客面で満足してもらえれば、リピーターになってもらえたり口コミで評判が広がったりする可能性も出てくるでしょう。
「ファンくる」が実施した調査によると、笑顔や接客のいい店員がいたらまたお店に行きたいと考える方は94%に達しています。
出典:ファンくる
お店を繁盛させるためには、料理の味だけでなく接客も大切になることが分かります。
飲食店は廃業率が5年以内に80%!?飲食店経営が難しい理由5選!正しい接客用語を使えていない場合、お客さんを不快にさせる可能性があると言えるでしょう。
スタッフの接客用語のレベルを一定にするためには、接客マニュアルを作成したり研修をしたりするのが1つの方法です。
飲食店の中には、朝礼で接客用語を練習するケースもあります。
飲食店の接客用語の基本8つ
飲食店の接客用語には基本となる8つの言葉があり、どのような形態のお店を経営する上でも必須となります。
- いらっしゃいませ
- かしこまりました
- 少々お待ち下さい
- お待たせいたしました
- 恐れ入ります
- 申し訳ございません
- ありがとうございました
- 失礼いたします
ここから、基本となる接客用語について具体的に解説します。
接客用語:①入店時に「いらっしゃいませ」
基本の接客用語の1つは「いらっしゃいませ」です。
お客さんがお店に来たときにかける言葉で、明るく元気に話すのがポイントです。
最初の「い」をはっきり言うことを意識すると、お客さんに気持ちが伝わりやすくなります。
お店によっては語尾を伸ばすケースもありますが、馬鹿にしていると感じたりいい加減な印象を持ったりする方もいます。
なるべく語尾を切るように話すと、誠実な印象を持ってもらいやすくなるでしょう。
接客用語:②返事をするときに「かしこまりました」
基本の接客用語の1つとして、「かしこまりました」が挙げられます。
丁寧語の「わかりました」「了解しました」よりもお客さんに敬意を伝えられる表現で、接客の場面で相応しい言葉になります。
「はい、かしこまりました」と話せば、お客さんは気持ちが伝わったと安心できるでしょう。
接客用語:③待たせてしまう場合に「少々お待ち下さい」
接客用語の1つとして、「少々お待ち下さい」が挙げられます。
注文を受けてその場を離れる場合や、電話応対で保留にするときなどに使われる言葉です。
「少々お待ち下さい」と伝えておくことで、お客さんの「待たされる」気持ちを和らげる効果が期待できます。
お客さんに待ってもらえるかわからない状況の場合、「お待ちいただけますか?」のように言い方を変えると効果的です。
接客用語:④待たせてしまった場合に「お待たせいたしました」
接客用語の1つとして、「お待たせいたしました」が挙げられます。
注文を受けて席まで行く時や、料理を提供するときなど、さまざまな状況で使われる言葉です。
お店側としては早く対応しているつもりでも、人によって感じ方は異なり、お客さんの頼まれごとに対応するときの第一声として使うと効果的です。
接客用語:⑤お願いをする時に「恐れ入ります」
飲食店の接客用語の基本は「恐れ入ります」です。
クッション言葉として使われる言葉で、一般的にお客さんに何かを頼む場合やお詫びする場合に使われます。
日常では馴染みのない言葉ですが、接客の場面においては必須となる言葉の1つです。
接客用語:⑥謝るときに「申し訳ございません」
飲食店の接客用語の基本として、「申し訳ございません」が挙げられます。
日常で使われる「すみません」に比べて丁寧な表現で、心から謝るために使うと効果的です。
ミスをした場合、「すみません」と言うと謝罪の気持ちが伝わらず、お客さんを怒らせる可能性があります
接客中に謝罪する場合は、必ず「申し訳ございません」と伝えるのがポイントです。
接客用語:⑦退店時に「ありがとうございました」
飲食店の接客用語の1つとして、「ありがとうございました」があげられます。
主にお客さんが帰るときに使われる言葉で、日常的に使い慣れている方もいるでしょう。
お店によりますが、「ありがとうございました」と言うと、「次はありません」や「二度と来なくていいです」のようなニュアンスが伝わると考えるところもあります。
お店のルールに従って「ありがとうございます」と使い分けるようにしましょう。
接客用語:⑧提供時に「失礼致します」
飲食店の接客用語として、「失礼いたします」があげられます。
料理を提供する時やお客さんの側を通るときなど、さまざまな場面で使われる言葉です。
「失礼します」よりも「失礼いたします」とする方が丁寧で、接客するときは注意しましょう。
飲食店の間違った言葉遣い事例9つ
飲食店の中には正しくない日本語が使われているケースがあり、間違いに気づかないと、お客さんを不快な気持ちにさせる原因になります。
- 〜でよろしかったでしょうか?
- 〜になります
- 〜のほう
- 〜円からお預かりします
- 〜いたしますか?
- お名前を頂戴できますか?
- とんでもございません
- こちらにお座りになってお待ち下さい
- 〜のお客様
お店の経営者として、言葉遣いの間違いは要注意です。
ここから、言葉遣いの間違いを具体的に解説します。
間違った言葉遣い:①〜でよろしかったでしょうか?
言葉遣いの間違いとして、「〜でよろしかったでしょうか?」があげられます。
注文を受けたときに、例えば「ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」と使われるケースがあります。
正しくは「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」です。
間違った言葉遣い:②〜になります
飲食店の言葉遣いの間違いは、「〜になります」です。
料理を提供する場合に、例えば「こちらがハンバーグになります」と使われるケースがあります。
一見正しそうに聞こえますが、「なる」とは変化することを表す言葉で、料理を提供するときに使うと意味が通じません。
正しくは「こちらがハンバーグでございます」です。
間違った言葉遣い:③〜のほう
言葉遣いの間違いとして、「〜のほう」があげられます。
具体的には、「ハンバーグのほうをお持ちしました」のように使われますが、「〜の方」とは方角を表す言葉です。
「ハンバーグをお持ちしました」が正しい表現です。
間違った言葉遣い:④〜円からお預かりします
お会計するときの言葉遣いの間違いとして、「〜円からお預かりします」があげられます。
「〜から」とは、例えば「向こうの方から」と場所の起点を表したり「用事があるから」と理由を示すときに使われる言葉です。
正しくは「〜円お預かりします」です。
間違った言葉遣い:⑤〜いたしますか?
飲食店の言葉遣いの間違いとして、「〜いたしますか?」があげられます。
例えば、注文を聞くときに「飲み物はいかがいたしますか?」と使われるケースがあります。
「いたす」とはへりくだった言葉で、お客さんを下に見る言葉になるため注意が必要です。
正しくは「飲み物はいかがなさいますか?」です。
間違った言葉遣い:⑥お名前を頂戴できますか?
飲食店の言葉遣いの間違いとして、「お名前を頂戴できますか?」があげられます。
領収書の宛名を書く場合や、電話応対するときなどに間違われやすい言葉で、正しくは「お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」です。
間違った言葉遣い:⑦とんでもございません
飲食店の言葉遣いの間違いは、「とんでもございません」です。
お客さんから褒められた場合に使われるケースのある言葉ですが、本来は「意外」や「途方もない」ことを表しています。
正しい言葉としては「恐れ入ります」になります。
間違った言葉遣い:⑧こちらにお座りになってお待ち下さい
飲食店の言葉遣いの間違いとして、「こちらにお座りになってお待ち下さい」があげられます。
「お座り」とは一般的にペットに対して使われるケースの多い言葉で、不快に思うお客さんもいるでしょう。
正しくは「こちらにお掛けになってお待ち下さい」です。
間違った言葉遣い:⑨〜のお客様
料理を提供するときの言葉遣いの間違いとして、「〜のお客様」があります。
例えば、複数人で料理を注文した場合、「ハンバーグのお客様」と言われるケースがありますが、「お客さんの存在がハンバーグ」と捉えられます。
正しくは「ハンバーグでございます」です。
飲食店の接客で活用できるクッション言葉3つ
飲食店の接客でクッション言葉を使うと、お客さんに言いにくいことでも、柔らかく伝えられる点が特徴です。
お願いをしたり断ったりする必要がある場合に役に立つのがクッション言葉で、スタッフが使えるようになると効果的です。
- もしよろしければ
- ご希望に添えず
- お手数をおかけいたしますが
ここから、クッション言葉について具体的に解説します。
クッション言葉:①もしよろしければ
クッション言葉の1つとして、「もしよろしければ」があげられます。
例えば「もしよろしければ、アンケートに協力していただけませんか?」と、お客さんにお願いをする場合に使うと効果的で、応じてもらえる可能性があがるでしょう。
クッション言葉を抜くと、命令されているような印象に感じる方もおり、注意が必要です。
クッション言葉:②ご希望に添えず
クッション言葉の1つは、「ご希望に添えず」です。
お客さんの要望に答えられない場合に使う言葉で、お客さんの気持ちに共感し、心からお詫びする気持ちを表せます。
「こちらの商品は売り切れです。ご希望に添えず申し訳ありません」と伝えると、お客さんの残念に思う気持ちを緩和できます。
クッション言葉:③お手数をおかけいたしますが
クッション言葉の1つに、「お手数をおかけいたしますが」があります。
お客さんにお願いする場合に使われる言葉で、クレジットカードのサインを書いてもらう状況などが当てはまります。
「お手数をおかけいたしますが、こちらにお名前をご記入いただけますでしょうか」とすると、より丁寧な印象をお客さんに伝えられます。
接客用語を活かすために気をつけたい2つのポイント
正しい接客用語を身につければ、お客さんにいい印象を与えやすくなりますが、効果をあげるために気をつけたい点があります。
- 笑顔や身だしなみに気をつける
- 料理の提供時・退店時の接客に気をつける
ここから、接客時に気をつけるべきことを具体的に解説します。
①笑顔や身だしなみに気をつける
接客用語の効果をあげるために気をつけたいのは、笑顔や身だしなみ、お店全体の清潔感などお客さんの目に入る部分です。
アルバート・メラビアンが行った実験の結果、人の行動が他人に与える影響には以下のような特徴があると判明しているためです。
- 話の内容など言語情報:7%
- 口調や話の早さなどの聴覚情報:38%
- 見た目などの視覚情報:55%
出典:Wikipedia
接客でどれだけ丁寧な接客用語を使っていても、笑顔がなかったり不潔な身だしなみをしてたりする場合、気持ちが伝わりにくくなることがわかります。
正しい接客用語を教育すると同時に、スタッフの笑顔や身だしなみなどを改めて見直すと効果的です。
②料理の提供時・退店時の接客に気をつける
接客用語の効果をあげるために気をつけたい点として、料理の提供時とお客さんの退店時の接客があげられます。
お客さんが最も強い感情を持つときと、その体験が終わるときに当てはまるためです。
心理学者のダニエル・カーネマン氏によると、「人はある出来事に対して、感情が最も高まったときの印象と、最後の印象だけで全体的な印象の判断をする」ことが判明しています。
出典:日本経営心理士協会
飲食店の場合、料理が出てきて感情が最も高くなり、退店するときに最も下がるのが一般的です。
料理を提供するときに、料理の説明を一言加えたり、どのお客さんが注文した商品なのかを覚えていたりすると喜ばれやすくなるでしょう。
お客さんが退店する場合、店の奥から店主が見送りにでてきて、深々と頭を下げることで感動の余韻が残りやすくなります。
飲食店の接客用語に関するよくある質問
飲食店の接客用語に関してよくある質問をまとめました。
上記で解説した接客用語以外にも数多くの接客用語があります。
ここから、上記以外で「このシチュエーションではどのような言い回しが正解なのだろう?」と思うような接客用語を具体的に解説します。
電話応対時にはどのような接客用語がありますか?
具体的には下記のとおりです。
- 聞き取りにくい場合:「申し訳ございません、電波の調子が悪いようです」
- 名前を聞く場合:「失礼ですが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
- 電話を切る場合:「お電話ありがとうございました。私、◯◯が承りました。」
電話で話す場合、暗く声が聞こえやすく、いつもより声のトーンを上げるようにしましょう。
接客で活用できる敬語にはどのような種類がありますか?
大きく分けると、以下の5種類あります。
- 尊敬語:「お客さんがいらっしゃる」「お帰りになる」など
- 丁寧語:「〜です」「〜ます」など
- 謙譲語:「ご案内いたします」「ご説明いたします」など
- 丁重語:「いたします」「申します」など
- 美化語:「お飲み物」「お魚」など
状況に応じて使い分けることが、敬語を使うときのポイントです。
飲食店の接客で満足してもらうには正しい接客用語を教育しましょう
ここまで、飲食店の基本となる接客用語や、言葉遣いの間違いなどに関して詳しく解説してきました。
本記事のまとめは、具体的に下記のとおりです。
- 接客用語を覚える重要性として、おもてなしの気持ちを伝えやすくなる点がある
- 接客用語の間違いとして「〜でよろしかったでしょうか」「〜になります」などが挙げられる
- 接客用語以外にも、身だしなみやお客さんの入店時、料理提供時の接客に気をつける必要がある
本記事を参考に、飲食店の接客用語について理解していただければ幸いです。